第4期つなぎすと府中養成講座 第5回「まちのコーディネーターを紹介しよう」開催報告 6/26
“つなぎすと”とは、地域課題を解決するコーディネーターのこと。第5回は「まちのコーディネーターを紹介しよう」ということで、受講生がそれぞれ事前に取材した、実際に地域で活動するコーディネーターについて発表しました。そのあとに受講生自身が考えるコーディネーターとは何かを共有していきます。
取材先の情報まとめ
講座5回目の始まりは取材についてのプレゼンテーション準備から。
前回取材した先のまとめ、グループ取材に行った先の紹介のため、司会などそれぞれの役割を決め、スケッチブックを使って切り絵、手作りの地図などを紙芝居風にするなど、PCを使って写真を出すタイミングを相談したりしながらプレゼン準備をします。
まちのコーディネーター紹介
地域に寄り添うコーディネーターの魅力とは。実際に見た、聞いた、受講生が発表します。
受講生のNさんは、市民活動団体“i-ze(いーぜ)”代表・山根浩子さんを取材しました。
山根さんは長く、会社勤めをしていて、ふと、一区切りをつけこれから何をしていこうかと思ったときに、何も思いつかず愕然としたという経験からその人のありのままを応援するという「いーぜ、いーぜ、その調子、いまのままでいいぜ、ありのままでいいぜ。」の意味を込めて団体名をつけています。
何より大事にしているのは、単発のワークショップ一回参加して終わり。ではなく、そこで出会った参加者同士の交流や、つながりを継続していくことを意識しているそうです。
「会社員の時にはこれからの生き方を何も言えなかった。」と山根さんはおっしゃいました。ただ、その時の衝撃や、気付きを地域の活動に活かしている、その時には何もなくてもそこからいくらでも広げていける。団体のメンバーの得意なことをそれぞれに、活動の幅に生かしている。その行動力がすごいと思いました。という発表でした。
受講生3名が合同で取材したのは、カフェ“FLAT STAND”店長・和田滋夫さんです。
和田さんは自分の育った所が地域の人に見守られながら成長できる環境だったために、地域に根づいた居場所を提供する、子どもから大人まで自然と相談されたり、困った時には頼ってもらえるように普段からの地道な関係づくりを大切にカフェを運営しています。
外観は白くお洒落な可愛らしい雰囲気で、まさに“ふらっと”立ち寄りたくなるようなカフェです。お店の二階のカフェスペースは明るく、とても気持ちの良い空間です。カフェ近くの、小学生の放課後の居場所や、中高生の学びの場とも連携しているのであらゆる世代が交流できる“小さな村”のような存在になりつつあります。時代とともに子どもたちの遊び場が少なくなり、近所の人とも希薄になる中で、このカフェを中心に小さな温かい村ができつつある。自分の住んでいるところにあってほしい。これをもっと広げていってほしいと思ったそうです。
Co-study space“Posse”には、受講生2名が取材に行きました。
代表の村本義樹さんは現役の大学生です。
誰にも気兼ねなく、図書館ほど静かでなくてもよくて、誰とでも気軽につながれる場所があったらいいなという思いから、中高生のための学びの場をつくろうと思ったそう。入り口にはアクアリウムがあり、中に入るとラウンジがあったり絵本もある本棚、また落ち着いた個室のようになっている畳の空間もあります。
勉強するもよし、何かやりたいことがあれば、様々な形の学びを地域の大学生や大人たちがサポートしてくれます。
立ち上げにあたり、HPをつくることから始まり、アパートの一室をリフォームするためにクラウドファンディングで資金を募るなど、同じ年代の人が学べないような実践的な事もしていることから、自分たちが社会に出たときの最初の自信にもつながる経験ができている。誰かのために始めたことが、自分のためにもなっている。これからの将来を担う若者たちが育っていけるような環境がある。そんな風に思える場所だったそうです。
受講生Kさんは、“Cafe開”オーナーの塩飽隆典さんを取材しました。
塩飽さんは“住み開き”(自宅の一部を開放する)カフェを運営しています。
仕事で世界を見てきた時に、公園や共有地、コミュニティは自分たちで考えてつくるものということを知り、また、「居場所と出番」という言葉にも出会います。その間に住んでいる地域の困りごとがあったときには、いつでも寄り添ってくれる奥様の後押しもありそれを経験したこともふまえて、居場所と出番をつなぐ場所として、家をオープンにしています。
住宅街の一角に溶け込んだ場所。お家の庭がきれいに手入れをされていて、近くには公園もあり、和やかな空間で落ち着いた雰囲気です。
大きく始めるのではなく、住んでいる地域の人、手の届きそうな人に向けて発信していく。そこからのつながりを大切にして広げていく。「“個”でつながればそれができる。」と塩飽隆典さんはおっしゃいました。それがとても興味深いと思ったそうです。今回は取材でしたが、次はお客さんとして行ってみたいと思えるような場所でした。ということでした。
ふりかえり
私の考える「コーディネーターとはOOである」
自分自身の思う「OO」をグループに分かれ考えた理由を共有して発表します。
それぞれの思うコーディネーターの理想とは……
・コミュニティの管理人である。
ビジネス目的ではなく、社会貢献。人のために、地域の問題を解決するためにはと自分のことと捉えて感じたことを実現していく、強い信念をもって続けていくこと。
・場の調整役である。
まず場所があり、雰囲気や、置いてあるものに魅力を感じて、人が集まってくる、場所の管理も大事である。そこに来る人の思いを受けとめて、大切にしてそれを形にし、広げていく。
根底にあるのは、誰かのためであること、つなげていくことがコーディネーターとして必要である、という意見が出ていました。
今回の講座を通して、いろんな人がいろんなやり方で地域に寄り添っている。それぞれのやり方は違っても、思いの方向は同じで、根底にあるのは地域に生きる人たちのためであること。自分の目標に向かう手段、学び、育てる場所であったり、頼りになる場所、居場所であったり、ほっとする空間が、自分の住む地域の近くにあるということは何より心強いと思える。コーディネーターの魅力がよくわかる講座でした。
次回第6回は「協働企画を生み出すワーク」東京都市大学特任教授、武蔵野大学客員教授、株式会社プラチナマイスター代表 杉浦正吾さんにお話しいただきます。
(市民ライター 川島清夏)