「コミュニティカフェ地域のたまり場開設講座 コミュニティカフェ・プラン発表会 3/7」開催報告
約2カ月にわたって開催されてきたコミュニティカフェ開設講座も8回目の最終回でした。受講生11名が、これまでの学びを生かして各自のプランを発表しました。
第8回(最終回)「コミュニティカフェ・プラン発表会」イベントレポート
各プランの講評は、税理士の堀内龍文さん(第6・7回講師)と「Cafe ハートフル・ポート」の五味真紀さん(第4回講師)。
また「kotocafe」の藤本玄太さん(第2回講師)と「the town stand FLAT」の糟谷明範さん(第5回講師)もZoomで視聴してくださいました。
さて、どんな夢が詰まったカフェが語られたでしょうか?
想いをカタチに 〜11色の夢プラン
構想段階の人、経営間近な人、すでに経営されている人、経営2店舗目の人・・・様々な背景を持つ受講生が十人十色ならぬ、11人11色の素敵なプランを発表しました。
知的好奇心が満たされる場所づくり
最初にご紹介するのは、「カフェで提供するものは飲食だけではない、運営者自身が強みになる」、そんなことを教えてくださった4名の方の発表です。
Kさんは、国際会議で感じた、ディスカッション力を高める英語の学びの場を考えています。海の近くに移住する予定のため、講師から「地域とのつながりが今後の成功のポイント」と助言がありました。
Hさんは、大学退職後、約300冊の本を提供して始めた「まちライブラリー」の持続的な経営が課題です。講師からは「Hさんとの会話を楽しむなど、知的好奇心が満たされるメニューを増やしてはどうか」と提案がありました。
HNさんは、認知症の両親の影響で、ケアラーズカフェを運営。今後はカフェを「自分ごと」に捉えている「認知症」に特化したいと考えています。講師からは、「対象を当事者かケアする人か絞ること、『自分ごと』に説得力があり、経験を聴きたい人もいるのでは」との意見がありました。
看護師のWさんは、好きな仕事を続けながら週末だけ、地域住民が笑顔になれる場所を作りたいと考えています。講師からは、「準備として仲間を作っていくことや、看護師としてやりたいことを前面に打ち出してはどうか」との助言がありました。
子どもと親のための居場所づくり
多様性を尊重した共生を目指す社会の中で、生きづらさを感じている子どもたちとその親御さんたち。そんな親子に光を当てたカフェを4名の方が発表しました。
Sさんは、子どもの不登校経験から始めた、学習講座の集客を増やしたいそうです。講師からは、「不登校児などターゲットを絞ることと、オンラインで仲間づくりをしていくと良いのでは」と助言がありました。
働く母親のNさんは、学校と家庭以外の話し相手がいない中高生の将来につながる場所を作ろうと考えています。講師からは、「無料体験会などで親御さんに価値を理解してもらう」こと、「中高生限定のサードスペースは需要と価値がある」との意見がありました。
Yさんは障害児の子育てを通し、同じように心身の疲弊や孤独を感じる親たちが安らげる場所を提供したいと考えています。講師からは「カフェには『親の会』のような負担がないことが強み。利用者となる親たちとまずは話すだけでも立派な場作りになる」ことや助成金やクラウドファンディングを活用した資金調達の提案がありました。またYさんの子どもを巻き込むことで、「子どもの生きる力につながるのでは」との助言もありました。
発達障害の子どもを持つWMさん。発達障害児と不登校児の親子が楽しく話せる場所を自宅に作りたいと考えています。親子が講師になるワークショップなど、学びの数だけメニューがあります。講師から「自宅での運営は、個人情報が公開されるため、危機管理を考えておくとよい」との助言がありました。
自分らしくいられる居場所づくり
最後にご紹介する3名の発表は、コロナ禍だからこそ、ピンチをチャンスに変える可能性を秘めた、魅力的なカフェです。
Mさんは、実は共催のWACが行った講座の卒業生。今回の再受講は、亡き祖父母の農家を1人で管理する母親のため。土いじりを通して、癒される場所を提供したいと考えています。講師からは、「収穫など手が回らないところをイベントにする面白さ」、「宿泊も可能にし、休日は親子連れの観光、平日はリモートワークの場として活用してはどうか」、「親の生きがいにもつながるかもしれない」との意見もありました。
MNさんは、訪問介護と手話通訳の仕事を通し、周囲の無理解による聴覚障害者の孤独を感じ、彼らが人目を気にせず話せる場所を作りたいと考えています。講師からは、「コロナで“人と話ができない”今だからこそ、手話カフェという他にはない強みを生かしたビジネスチャンスがあるのではないか」との意見がありました。
アメリカの大学で学んだIさん。世代間交流の研究を通して、在日外国人のためのコミュニティの場を作りたいと考えています。講師から、「外国人の孤立は社会問題でもあり、居場所づくりは必要」、「改装作業などを利用者と一緒に行うことで、そこにコミュニティが形成される」との意見もありました。
第8回目を通して
講師からのエール
堀内さんは、「1回限りでも集って何かやれば、それがコミュニティカフェであり、『こうじゃないと始めてはいけない』ということはない。
他の人と比べる必要はなく、縁を大切に情報共有して進めてほしい」。
五味さんは、「社会的関係を保つことで健康寿命が1.5倍は伸びるというデータがあり、利用者だけでなく提供する皆さんにも恩恵がある。夢に向かってできる範囲でやってほしい」。
藤本さんは、「一番大切なのは“想い”。“想い”は原動力になり、人を惹きつける。コロナ禍で分断されたコミュニティの再形成はすでに世界課題。
持続可能な案で解決できることを願っている」、とそれぞれ心強いメッセージをいただきました。
聴講させていただいて
皆さんがこれまで歩まれてきた道のりの中で、抱いた「想い」や「願い」を形にされていることに感動しました。
苦悩を強みにしていく力の大切さを学びました。
そして何より、講師陣は頼もしい応援団! 皆さんの夢の実現を心から願い、背中を押してくれています。2カ月間お疲れ様でした。
そしてこれからがスタートですね!私も皆さんの夢が必ず叶うことを信じ、祈っています。
なお今回、発表された受講生の中から2名の方が選ばれ、全国交流会※で発表する予定です。お楽しみに!
※第10回コミュニティカフェ全国交流会―開設講座成果発表会 2021年3月21日(日)13時〜16時、Zoomで開催予定。
http://www.fuchu-platz.jp/event/1004705.html
(市民ライター 亀谷のりこ)