「コミュニティカフェ地域のたまり場開設講座 開設・運営事例編1/31 」開催報告「多世代交流型住み開きカフェ」
全8回シリーズ「コミュニティカフェ・地域のたまり場開設講座」の4日目を開催しました!今回のテーマは「多世代交流型住み開きカフェ」です。講師は、横浜市旭区で「住み開きカフェ ハートフル・ポート」を運営されている五味真紀さん。
1月31日(日)午後、コミュニティカフェ開設講座の第4回が開催され、会場3名、リモートでは11名の方が参加されました。
今回のテーマは「多世代交流型住み開きカフェ」です。
講師は、横浜市旭区で「住み開きカフェ ハートフル・ポート」を運営されている五味真紀さん。地域の居場所づくりを大切にしながら、海外や環境問題までつながり広げていく五味さんに「住み開きカフェ」の開設までの経緯や事業内容、コロナ禍で営業、継続していくためのヒント、さらには人とのつながりから実現してきた様々なイベントなどのお話を伺いました。
後半には、五味さんも実際にカフェを始める前に作成したという『地域資源マップ』を使って、参加者が考えている自分の作りたい場所づくりを具体的化するワークショップを行いました。
地域の温かい港のような住み開きカフェ「ハートフル・ポート」
第1部では、五味さんから2021年6月で7年目を迎える「ハートフル・ポート」の今までの事業内容を、写真やスライドを使って紹介いただきました。木の温かさを感じる明るい店内でのランチやイベントの写真とともに、カフェの1日を五味さんの日記で再現していただきました。
次にコロナ禍の現状についてのお話。この状況を『場』を持つ者が試されている、だからこそ立ち止まって考えるいい機会だと前向きに捉えた五味さんは、地域のつながりを維持するために、カフェではお惣菜やお弁当の販売、イベントではオンラインを活用したりシニアのICT化講座を行ったりするなど、営業形態を現状と利用者のニーズに合ったものへシフトします。
地域の人たちにとっての温かい港のような存在でありたいと名付けられた「ハートフル・ポート」。自由な空間・何をしてもいい場所・何かが生まれる場所を目指し、場の入り口となる『カフェ』、出会いや学びの場である『多世代交流イベント』、住民自らが行動する『地域の課題の解決』の三つを主な事業とし、地域で孤立している人を孤立させない活動としてこども食堂(現在はひとり親サロン)や認知症カフェを開催し、さらに2019年には環境活動グループも発足させます。
一部の後半では、五味さんが同居していた義母の看取りの体験から、自分自身の生き方を真剣に考えるようになったことが事業を始めるきっかけとなったというお話や、亡くなった義母の部屋をリノベーションしてカフェを始めるまでの経緯を伺いました。また、開業までのやったことリストや個人事業主という営業形態やスタッフとの関係性について、住み開きカフェのメリット・デメリット、これまでに悩んだことなど、五味さんの貴重な経験談を聞かせていただきました。
事業をはじめるためのチェックシート
第2部では、五味さんが作成された『地域のたまり場づくりのためのチェックシート』を見ながら、たまり場をつくるのに必要なことをハートフル・ポートの事業の経験からレクチャーしていただきました。
まず「自分が何をしたいのか」「それをすると自分が幸せになれるのか」など自分自身に問うチェック項目の後に、以下のようなチェックシートが紹介されました。
(1)行きたいとおもってもらえる場づくりに必要な「7つの要素」
- 来てもらいたい人は誰か?
- 来てもらいたい人が求める場になっているか?
- 場としての魅力はあるか?
- 空間としての魅力はあるか?
- 見込み客となる人との関係性はあるか?
- 来てほしい人への周知手段はあるか?
- 人への関心があるか?
(2)具体的に作りこんでいくために
何を?いつ?どこで?誰と? 運営スタイルや資金などについて
(3)持続可能な活動にするは
- 持続した収入面の確保
- 社会や地域のニーズへの敏感で柔軟な対応
- お客様や同業者、他団体とのつながりの大切さなど
他にも、五味さんは「無理なく、楽しく」やっていくこと、様々な問題に直面した時、それを楽しく解決できる力の重要性を強調されました。また、多くの人に関わってもらい、主体的に参加してもらえるような「関係人口」を増やすこともカギになるとのことでした。
地域資源とのつながりを考えてみる
第3部では『地域資源マップ』を使ってのワークショップが行われました。
『地域資源マップ』には自分の作りたい場がどんなものであるか、やりたい事業(いくつでも)とそれを通じてつながりたい人を書き込みます。参加者全員がマップを作成し、その後グループに分かれて各自のマップを発表し、質疑応答や意見交換を行いました。
ワークショップ後、参加者からは「やりたいことを視覚化することで整理ができた」や「考えるだけではなく一歩踏み出す気になれた」などの感想がありました。
次週は「こまちカフェ」の森祐美子さんに「カフェと子育て世代の社会参加」をテーマに、「まちのセカンドリビングthe town stand FLAT」の糟谷明範さんには「いつまでも半生で、いつまでも未完成の場作り」をテーマにそれぞれお話を伺います。
(市民ライター 崎山 美穂)