第4期つなぎすと府中養成講座 第3回「コーディネーターに必要なよりそう力」開催報告 6/5
“つなぎすと”とは、地域課題を解決するコーディネーターのこと。第3回は「コーディネーターに必要なよりそう力」と題して、想いを引き出す会話を紡ぐ力、対話を促す力についてNPO法人こととふラボ代表理事で、東京工科大学教養学環兼任講師をされている佐藤宏樹さんにお話を伺いました。後半はグループでの模擬会議を行いました。
■コーディネーターに必須なファシリテーションスキル
いくつもの大学で授業をされている佐藤さん。今回は概念中心の話になるが、自分が関わっている現場などをイメージし、そこに紐づけながら聞いてほしいと前置きされて講義が始まりました。
価値観が多種多様になった現代のコミュニケーションの場では、人々が納得して前に進んでいくため「合意形成」が重要です。そして、対話を促進し「合意形成」を促し、人や組織をつなぎ「コミュニティ化」を手助けするコーディネーターに「ファシリテーション」が必須であると話しました。
ファシリテーションスキルの7、8割は練習することで獲得できるそうです。ワークショップの現場においては、すでにファシリテーションの在り方が確立されつつあるため、ワークショップの定義や特徴などを通して、受講生自らが関わる現場で、それをどう活かしていくかイメージしながら理解を深めていく講義となりました。
■ファシリテーターとしての心構えと「紡ぐ」スキル
次に、ワークショップにおけるファシリテーターの心構えとして、その場を信頼して参加者の反応や行動を待つことの大切さや、自己開示しやすい「安心・安全」な場づくり、その場で起きたことを全て受け入れる「覚悟」など、ファシリテーターが持つべき基本的なマインドが示されました。
コーディネーターの「場」に対する姿勢として佐藤さんが挙げたのは、自分がどんなスタンスで関わるか、相手がどんなスタンスを求めているかを明確にすること、関わるメンバーと「一緒の視点」に立って考え行動するために相手の背景や状況を把握し、時には相手の想いを引き出したり言語化を助けたりしながら、最後まで責任を担うことの重要性でした。
最後に、関係性を構築する対話を「紡ぐ」スキルとして、対話の際に意識すべきことや「問い」の立て方、思考を深める「なぜ」の使い方、アイディアを出しやすくするための制約条件の出し方など、具体的な手法を学び、それを踏まえてグループでの模擬会議へうつりました。
■「紡ぐ力」トレーニングワークで実際にやってみる
後半は「紡ぐ力」トレーニングワークとして、グループに分かれて、出されたお題に全員が納得する答えを10分で出す模擬会議を行いました。お題は全部で三つ、一人一度は進行役を担当し、その都度「合意形成」至ったプロセスを各自がふり返る時間がとられました。
模擬会議のお題と回答の一例
プラッツ主催の「協働まつり」に出店します。つなぎすと府中養成講座を宣伝するブースでどんな企画を実施しますか。
グループAの回答
つなぎすと府中養成講座を宣伝する。また、来場者が感じている地域課題や悩み事を聞き出し、解決の手助けとなる団体とマッチングする場をつくる。府中で地域課題の解決に取り組んでいる団体なども掲示して紹介する。
明確なイメージの共有ができ、「実際にやってみたい」と盛り上がった会議があった一方、時間内に具体的な結論に至らなかったお題もありました。最後は、受講生同士がお互いの気づきをグループ内でフィードバックし、トレーニングワークは終了となりました。
佐藤さんは「とにかく実際にやってみることが大事なので、今回の反省点を意識しながら実践していくことで力をつけていってほしい」と締めくくりました。
今回は最後に受講生に以下の課題が出されました。
『本日の講義・演習を内省し、ご自身の関わる「現場」に“どう活かせるか”を言語化してみましょう。』
受講生からは「本日の学んだ「合意形成」の手法、特に全員が思っていることをきちんと出し発散させてから収束させることを意識しながら、所属団体の周年事業を実施するのか否か、実施する場合はどのような手法を取って実施するのかを意思決定をしていきたい。」
「大学のキャリア教育の現場で、授業を通してクラスをコミュニティ化することが大切なのではないかと感じた。話し方のノウハウを教えるよりも、関係性の築き方、合意形成のしかたを伝えていきたい。」「懇話会でワークショップのファシリテーター役を担った場合、講義内容を生かし、参加者の声を集め、合意形成をしていくことで、皆さんにメリットがある答えを導きたい。」などの回答が寄せられました。
次回第4回は「コーディネーターに必要なまきこむ力」。今回に続きNPO法人こととふラボ代表理事、東京工科大学教養学環兼任講師の佐藤宏樹さんにお話しいただきます。
(市民ライター 崎山美穂)