第4期つなぎすと府中養成講座 第4回「コーディネーターに必要なまきこむ力」開催報告 6/12
“つなぎすと”とは、地域課題を解決するコーディネーターのこと。前回に引き続き、第4回もNPO法人こととふラボ代表理事/東京工科大学教養学環兼任講師の佐藤宏樹さんをお迎えし、「コーディネーターに必要なまきこむ力〜想いを伝えるプレゼンテーション力」をテーマにご講義いただきました。
コーディネーターに必要なまきこむ力〜想いを伝えるプレゼンテーション力
「人・モノ・夢をつなぐコーディネーター」である、つなぎすと。「つなぐ」ためには、相手の想いを聴き、引き出す力(≒ファシリテーション力)と想いを伝える力(≒プレゼンテーション力)が必要です。
前回はファシリテーション力を学びましたが、今回は、他者に伝わりやすくするため“想い”を言語化し、共感を呼ぶために必要なプレゼンテーション力を学びます。
伝えたいメッセージは大切な贈り物
プレゼンテーションの最終目的は「聴き手の行動が変わる」ことであり、実は「世の中にある“伝える”という行為は、ほぼ全てプレゼンテーション」と佐藤さんは言います。
相手にわかってほしくて「伝える」ことは、私たちも普段からしています。
大切なのは「何を伝えたいのか」を明確にすること。
聴いた人達が、帰り道に「どんな会話をしてほしいか?」をイメージすると、自ずと答えが出てくるそうです。またプレゼンテーションを「プレゼント」に例えて考えるのも大切な視点。
つまり伝えたいメッセージが、相手への贈り物になります。
相手が喜ぶ贈り物にするためには、様々な工夫をしますが、プレゼンテーションも同じこと。
次の3つが必要だそうです。
【プレゼンテーションで大事な3要素】
- ストーリーで語る
- 瞬時に伝わるスライドデザイン
- 「プレゼント」を贈るときの心遣い
ストーリーで語る
「ストーリーで語る」とは、論理的に順序立てて話すこと。
伝えたいことを、聴き手に伝わるように、話に流れを持たせることが大切です。
何よりも相手が「知らない」ことを意識して、使う言葉も相手に合わせるとよいそうです。
教えていただいた論理的思考の1つをご紹介します。
【SDS構造】
Summary:導入(期待)このプレゼンテーションで最も伝えたいメッセージ
Detail :本題(説得)それらを伝えたい理由(複数あると説得力が増す)
Summary:まとめ(納得)導入で伝えた“メッセージ”を再度伝えて締めくくる
ここで重要なのは、導入。
聴き手が最も集中力の高い最初の10秒で「なぜ?」と問いかけ、心をつかみます。
また本題では、「論理的な事実」と「感情に訴えかける話」を合わせて構成することで、納得と共感を呼ぶことができるそうです。
瞬時に伝わるスライドデザイン
スライドは、話し手のメッセージを補強するための1つの補助的なポジションです。
メインである話し手に集中してもらえるように、伝えたいことが一瞬で理解できる“イメージ”が大切です。
講義では、アニメーションやフォントなどの要素から、理解を促すスライドデザインについて、実例を交え具体的にお話しいただきました。
あれこれと、ついつい詰め込みがちなスライド。
中でも“less is more”(要素は少なければ少ないほど効果的)という観点で、余白を有効活用する技は、ぜひ実践したいと思いました。
「プレゼント」を贈るときの心遣い
話し手が発信源になるため、なるべくリラックスして臨むことで聴き手も安心して聴くことができます。
早めに会場に到着し、聴き手や会場の雰囲気を知り、資料やパソコンの動作、時間配分などを確認しておくことで心に余裕ができます。
また相手に良い印象を持ってもらうためのポイント(身だしなみや姿勢など)や、表現テクニック(言葉、内容など)についても教えていただきました。
ここでは、「オンラインでのプレゼンテーションで意識するポイント」をご紹介します。
- トラブルは「起こるもの」として準備をする。
- カメラは双方ともにONにして表情を確認する。
- タイムラグを意識してゆっくり話す。
- リアルよりも丁寧なコミュニケーションをとること…などです。
これは今のご時勢では欠かせないスキルになってきたように思いました。
プレゼンテーションに正解はない!
何よりも最後の決め手は「熱量と真剣さ」。
熱量の度合いや表現方法によって、思いの伝わりやすさは変わってきます。
そのためには、「自分の言葉で語る」ことが効果的であり、「練習すること」も上達への近道だそうです。
様々なスキルを教えていただきましたが、最後に佐藤さんから、「プレゼンテーションに正解はない、要は相手に伝わればいい」という、心強いメッセージをいただきました。
まとめ
講義の後は、取材や最終プレゼンテーションに向けて今後の流れを説明し、受講生が取材先を選定しました。
講座も中盤になり、次回はこれまでの学びを活かして、ミニプレゼンテーションを行う予定です。
「よりそう力」と「まきこむ力」は2つの車輪のようだ、と感じました。
日常的につい一方的に「伝える」ことだけをしがちですが、まずは相手の話を丁寧に「聴く」ことが大切で、相手のニーズに合わせて、心を込めて「伝える」ことで、2つの輪が回り出し、新しい目的地へ向けて出発する(相手の行動が変わる)のだなと学びました。
次回は、まちのコーディネーターへの取材を経て、第5回2021年6月26日(土)13:30〜16:30「まちのコーディネーターを紹介しよう」です。
(市民ライター 亀谷のりこ)