第11回市民協働推進シンポジウム“「あの活動、楽しそう!」から生まれる「住みやすいまち」”開催しました!!
「住みやすいまち」って、どんなまちでしょう?
人それぞれその答えは違っても、みんながちょっとずつ地域に関わって、みんなにとって「自分のまち」になる。それが「住みやすいまち」への第一歩かもしれません。みんながまちに関わるきっかけを作りだすために、大切なことは何なのかを考えるシンポジウム、開催しました!
第一部:西川正さん講演「つながりの糸は、結んで垂らす」
公園でヤキイモを焼いたり、駅前の大通りにコタツを出してみんなで入ったり。ユニークな企画で地域の人たちが自然に仲良くなる、そんな仕掛けをあちこちで作っている西川正さん(ハンズオン埼玉理事)。たくさんの人たちをさりげなく巻き込むその秘訣は、いったい何でしょう?
シンポジウム当日も西川さんは、午前中は大宮の氷川参道で開催される「ラクガキタイム」に主催者として参加、午後は府中のプラッツで講演と一日中大忙し。第一部の講演では、動画も交え、数時間前の氷川参道の様子を紹介していただきました。
氷川参道を通りかかった人たちが、そこに居合わせた人と遊ぶ。ろう石やベーゴマ、ゴム段、巨大トランプなどなど。気負って地域へ出ていくのではなく、ふと気が付けば顔見知りが増えている、そんなゆるいつながりをめざしているそうです。
初めてその場に来た人も、安心していられる場。誰にも評価されたりせず、うまくいくかわからなくても自分なりに何かをしてみる、そんな気持ちになる場。集まった人たちと一緒に作り上げるための「スキマ」を残すことが大切です。
西川さんがコロナ前に積極的に行っていたのが、中学生と、公募した地元の大人が一対一で会話をしていく『トークフォークダンス』。
体育館に二重の輪になるように椅子を並べ、中学生が外の円、大人が内の円に座ります。会話のテーマが発表されるので、時間を区切り向かい合ったペアで話をします。どちらが話し手になるかを決めて、もうひとりは相手の話をじっと聞き、時間がきたら役割を交代。聞き手は傾聴することが大事で、「否定・説教・アドバイス」は禁止です。
「会場の皆さんも二人一組になってやってみましょう」という西川さんの提案で、会場参加者もペアになって1分間、となりの人と話をすることに。テーマは『子どものころ、夢中になったあそびはコレ!』。
初めて会った人同士、最初は少しぎこちなくても、徐々に雰囲気がほぐれていきます。
まちにはたくさんの、「普通の」大人たちがいます。メディアに登場するような「すごい」大人でなくても、みんなそれぞれいろいろなことを考えて生きています。
子どもたちは普段、ごく身近にいる限られた大人としか話す機会がありません。地域に住むたくさんの大人たちと、なんでもない会話を交わすこと。いろいろな人の、いろいろな考え方の一端に触れることが大切なのです。
コロナ禍があけたらまた中学校での『トークフォークダンス』が再開できるよう、西川さんは準備を進めているそうです。
第二部:パネルディスカッション:みんなを巻き込むために、大切なこと
「カブリモノをカブルと、心のヨロイがぬげる」ということで、カブリモノを自作する「カブリモノ研究会」の主催でもある西川さん。第二部では、登壇の皆さんがそれぞれ手作りのカブリモノをかぶっての登場です。
「ひな草の会」代表、萩原奈美さんは、府中生まれの府中育ち。
府中で結婚して子どもを育て、その子どもたちが独立した今も府中に暮らしています。
「まちのあちこちに花がいっぱいあるって、素敵だよね。府中もそうなればいいなぁ」と、近所の主婦たちと2014年にひな草の会を発足。花壇ボランティアから始めた活動は、押し花やリース作りのイベント開催や障害者施設での農作業手伝いなど、どんどん広がっています。
「夢があるなら誰かと一緒にやらないと、と思っていました。イベントを開催して、近所の人や子どもたちがたくさん集まってくれると楽しいだろうな、と思っても、ひとりでできることは少ないですよね。共感してくれる仲間が必要です。メンバーそれぞれが得意なこと、好きなことを活かしてもらえるといいです。ただし無理をすると続かないので、仲間にはいつも、『無理はしないでね』と伝えています」
続いては学童野球チーム「八小少年隼」副代表の岩田利治さん。
ご自身のお子さんが入団したことがきっかけで学童野球チームに関わるようになり、お子さんが大きくなって卒団した今も副代表をつとめ、団員の家族も含めたつながりづくりをしています。
「子どもの野球を見に来るお父さんで、『おっ、この人は何回も来ているな……』という人にはさりげなく声をかけて、いろいろなかたちでチームに関わってもらっています。お父さんたちみんなに役割を持ってもらうことが大事ですね。野球はやったことがなくても陸上をやっていた、ならばランニングコーチをやってもらおうとか。いつも練習に参加するのは無理だけど、試合の時に車を出すことならできるとか。それぞれの得意分野を活かして子どもの成長につなげてもらえればと思います」
今回のシンポジウムでは、LiveQ(参加者各自のスマートフォンからリアルタイムで、主催者に質問や意見を送ることができるウェブサービス)を使用して、会場参加の皆さんからたくさんのご意見やメッセージを送っていただきました。その中に「二番目に続く人が大事なんですね」というコメントがあり、これについて西川さんからお話がありました。
「誰かが何かをやろうとしたときに、『いいね!』と言ってくれる人がいるまちなのか、いないまちなのか。最初に言いだした人を孤立させずに、一緒に困ったり、一緒に失敗したりしてくれる。そんな『二番目の人』がいるまちには、『あそび』が生まれます。
あそびとは『結果が不確定であること』が絶対条件。成功するのか失敗するのかわからない、その不安を一緒に抱えてくれる人がいるのならば、やってみよう!とチャレンジすることができますよね。失敗も誰かと一緒ならば、良い思い出になります。皆さんがもし『二番目』であったなら、最初の人と一緒に悩んであげてください」
まちに生まれる「あそび」が、ゆるやかなつながりを作り、みんなにとって大切なまちになってゆく。そのためのヒントが詰まったシンポジウムでした。