災害時に活きる普段の活動~子育て団体の事例から~R04_1/15実施報告
第1部 特別セミナー
特別セミナーでは佐賀県武雄市より中継で、普段の活動が災害時にも活かせた事例を、同市にて子育て支援をしている団体「よりみちステーション」代表の小林由枝さんよりお話を伺いました。
小林さんは、「困ったことが起きたとき、できることからやっていこう」という姿勢が、災害時にも活きるとおっしゃいます。
遡ること2019年に九州北部に発生した豪雨災害で、当時被害が最も大きかった地域の佐賀県武雄市は、その爪痕も大きく、浸水被害にあった家屋では水が引くと住民の皆さんは家の片づけに追われます。
その時に被害にあった家屋や家族という単位などには公的な支援がいくつかありますが、災害時に子どもたちへの直接的な支援が基本的にはないことに気づいたそうです。
そこで、普段の事業で培った経験やつながりを活かして、大人たちが浸水した家屋の片付けに集中できるようにするための、子どもを預かる場として毎週日曜日の「あそび場」(居場所)を開設したそうです。
足掛け2年にわたり、まちの復興も一段落が見え、毎週日曜の遊び場も役割を終えた矢先、2021年8月に再び武雄市に、降水量で2年前を上回る災害が再び発生。8月下旬には、毎週日曜日開設していた子どもの「あそび場」を再開したそうです。
小林さんいわく、日頃から顔の見えるゆるやかなつながりを作っていたからこそ、迅速に地域のニーズを把握することができ、さらに、親が安心して子どもを預けることができる場所の開設につながったと実感されているそうです。
第2部 交流および、災害ボランティアセンター、府中市からの情報提供
◆府中における災害ボランティアセンターについて
災害ボランティアセンターの取り組みについて、府中市と当該のセンター設置についての協定を結ぶ府中ボランティアセンターの岩瀬さん(センター長)からお話しいただきました。
主に、災害ボランティアセンターの役割や災害ボランティア養成講座についてのお話などがあり、昨年は市民が参加した災害ボランティアセンターの設置訓練や、防災まちあるきの実施などについての紹介がありました。
被災地及び被災者の生活再建を支援することを目的とし、大規模な災害が発生した際に、被災者の困りごとに対し、ボランティアの力を借りて、被災者の生活の復旧・復興に向けた福祉救援活動を円滑に行うための実施につながる取り組みであることが端的に伝わったと思います。
◆府中市からの情報提供
また、府中市からの情報提供については、防災危機管理課から災害時における市民の適切な避難行動を促すための取り組みについて紹介がありました。
昨年12月に企業と「災害時避難施設に係る情報の提供に関する協定」を締結し、インターネット上で府中市の避難所の開設状況・混雑状況などの情報を、災害時に市民がリアルタイムに確認できるようになるとのことで、効率的な分散避難が可能となると考えられているそうです。
◆交流会
最後に参加者同士で情報交換を行いました。本日登壇した小林さん(オンライン)を含め3名の方にも各テーブルに入っていただき、4人以下の小グループでの交流していただきました。
自己紹介や日頃の取り組みなどについて自由にお話しいただきましたが、情報交換の時間が短かったこともあり、終了後もなかなか話がつきない様子がうかがえ、今回の催しも新たなつながりのキッカケになれたのではないかと期待しています。
また、事後のアンケートについては「色々な情報が得られて、よかったです」、「託児ありとなっていたので、同世代の方々がいらっしゃるかと思っていましたが、違っていて緊張しましたが、参加して良かった」、「本講座を受講し日頃からのコミュニケーションが重要だと言う事を再認識しました」などの回答が寄せられておりました。
今回の取り組みを通し、災害時に限らず地域に根付いた活動が継続的に行われ、緩やかなつながりが生まれるなど、普段の活動に注力することが大切だと、改めて教えていただいたように思います。