「第三の居場所 地域のたまり場・コミュニティカフェを作ろう」(1月~3月)開催報告
【夢と思いのアウトプットからプラン作成まで】
2022年1月9日から3月27日まで、全9回にわたり、居場所づくり・コミュニティカフェづくりに思いを馳せる参加者10名による実践を交えた連続講座を開催しました。
夢と思いのアウトプットからプラン作成まで
全9回の実践的プログラム
公益社団法人長寿社会文化協会(WAC)と府中市市民活動センター プラッツの協働企画で、講師に「Café ハートフルポート」の五味真紀さん、税理士の堀内龍文さんをお迎えし、思いのアウトプットから徐々に事業計画の輪郭が見え、カタチにしていく内容の講座でした。
今回は、いくつかのコミュニティカフェの中から選択してもらったカフェに、インターン体験も予定していましたが、コロナ感染拡により、やむを得ず中止となりました。代わりに小金井市で多世代の居場所として、認知症対応型デイサービスや保育所事業を同じ建物内で運営している「NPO法人 地域の寄り合い所 また明日」の代表理事 森田眞希さんをお迎えしお話を伺いました。
利用される方の日々の様子や、行政との関わり方など具体的な運営のコツなどもお話しいただき、参加者は俄然勢いづいた様子でした。
連続講座の終盤は自身のコミュニティカフェを開設するときをイメージし、チラシを作りプレオープンイベントを開催するという実践編です。
当日は市民ライターの伊藤薫さんに取材をお願いしました。
トライアルカフェ体験レポート(3月20日実施)
市民ライター 伊藤薫さん
東京では桜の開花が発表された3月20日の日曜日。約3か月にわたる講座はいよいよ佳境に入り、この日は大きな山場ともいえる「トライアルカフェ」本番を迎えていました。
トライアルカフェ開催に向けて準備を進めてきた3組による、プレオープンイベントの様子をお伝えします。
“ しごと ”を共有できる場づくり 「ご近所しごと場」
まず参加したのはHさん主催の「ご近所しごと場」プレオープンイベントです。
もともと、ご祖父母が所有されていた空き家を、地域の人が仕事をしたり交流したりするシェアスペースとして開くことを考えているHさん。「どんな『しごと場』がご近所に欲しい?どんなことをしたい?」をテーマに、参加者と一緒に話し合うイベントを開催しました。
Hさんの進行による全員の自己紹介からイベントはスタート。美味しいコーヒーをいただきながらお互いの話を聴くうちに、すぐに空気がほぐれて面白いアイデアが生まれそうな場が自然と出来ていきます。
皆で「未来のご近所しごと場」の姿を想像しながら、「こういう場が近所にあったらぜひ利用したい」「以前にこんなワークスペースを利用したことがある」といったお話が次々とあがり、和やかながらも活発な語り合いの場となりました。
プレオープンイベントを終え、参加者から色々な発想をもらったというHさん。「限られたスペースや資源を活かすためにも目的や特色をしっかりと絞ってコンセプトを定め、そこに合致する人に利用してもらうことが大事だとあらためて感じました」と、トライアルから実際の運営のヒントを得ることができたようでした。
課題に挑むコミュニティ 「ワールド交流カフェ みんなーズ」
ベトナムをはじめ東南アジアを中心とした国々からの技能実習生受け入れを担う監理団体を営むFさん。日本で技術を学びながら働く技能実習生と日本人との交流が少ないことに課題を感じ、地域住民と技能実習生の交流の場「みんなーズ」の開設を目指しています。
日本国内の155もの職種に携わり、働き手としてそれを支えている約40万人の技能実習生。しかし日本に滞在中、職場以外で日本人と交流をもつ機会はほとんどなく、ともすれば寂しい思いをしている人も少なくありません。
このオープン記念イベントでFさんは、そうした技能実習生の実情をクイズ形式にして問いかけ、参加者自身が技能実習生について考える場をつくりました。
Fさんが目指すカフェの目的は、一緒に活動すること。何かを共有する時間が、自然体で出来て深い交流を生むと考えています。そしてこの“カフェ”という形態が、技能実習生にとって座学をはるかにしのぐ「生きたコミュニケーション研修の場」になると期待しています。
技能実習生の立場に寄り添うFさんの情熱に触れ、参加者からもプロジェクトの一員さながらの意見や「地域の人に対して、“社会貢献ができる場”というアプローチもできるのでは」といった集客アイデアも寄せられました。
憩いの場をつくる喜び 「やぎカフェ」
農工大のヤギを主役にした店名がインパクト抜群の「やぎカフェ」を主催するのは、この春に同大学の修士課程修了を控えるCさんです。トライアルカフェとしてプラッツ6階の料理室を使い、講座の受講仲間の方々とともに2時間限定のカフェをオープンさせました。
この日は“おためしカフェ”と銘打ち、利用者はあらかじめ声をかけていた受講者のお知り合いや関係者の方々に限定しての開催。13時にオープンするや多くの来場がありとても盛況でした。
店内で提供されていたのは応援メンバーのKさんが自家焙煎した本格コーヒーをはじめ、2種類のクレープや焼き菓子、「農工(濃厚)乳酸菌飲料」(カルピスのような味わい)などの魅力的なメニューの数々。そしてCさんと講座仲間のみなさんによる笑顔と温かさの接客です。
まるで普段からこの場所にお店があるかのような賑わいに、一般の方が思わず来店される場面もありました。
ひとりで寛ぐもよし、居合わせた人同士で会話を楽しむもよし。そんな自由な空気の中で思い思いにカフェタイムを楽しむお客様たちの様子を眺めながら「カフェメニューも美味しかったと好評でした。やっぱりカフェっていいですね」と話してくれたCさん。その満ち足りた様子の笑顔がとても素敵で印象的でした。
想いが込められたカフェ
身の回りや地域の中に課題を感じ、コミュニティカフェという「場づくり」を志した講座受講者のみなさん。そこにはおひとりおひとりの想いが詰まった、さまざまなカフェのかたちがありました。
あるときはお茶会のような和やかなひとときを過ごすこともでき、あるときは課題に一緒に取り組むチームのような感覚にもなれる。一人でいても誰かといても、人の中にいることを感じながら自分もその空間の一員になれていると思うとき、そこは居心地よく安心できる「もうひとつの場」になってくれます。
今回のトライアルカフェ体験を通して、それがコミュニティカフェの特徴であり大きな魅力であるように感じました。
参加させていただいた3組のカフェも、今回は応援で参加した他の受講者の皆さんが、それぞれに計画しているカフェも今後の展開が気になるところばかり。実際に運営されている未来の姿をぜひ見てみたいと思いました!
(市民ライター 伊藤薫)
最終回はプラン発表(3月27日実施)
これまでブラッシュアップを重ね、また実践的なトライアルカフェも体験したことで、ペーパー上のプランからよりリアリティのある実際の運用シーンが思い浮かぶようなプランの発表を、参加者それぞれからしてもらいました。
WACさんが千葉や埼玉で行ったコミュニティカフェ開設講座の受講生5人(4組)をお招きし、プラン発表をお聞きしました。案外似たようなことを考えている人との出会いや、活動を共にし仲間の大切さをあらためて知るなど、感想もさまざまであった様子。
連続講座ならではの深い気づきや関係性が得られたことは大きな成果だと言えるでしょう。
また、すぐにでもプランを実施できる段階の方が多かったのも今回の受講生の特徴ではないでしょうか。
参加者のみなさんが、これから徐々に準備を進められて、それぞれの場をオープンされる日が楽しみです。
本実施に関する問い合わせ
ご関心のある方は、お電話などでコミュニティカフェ担当(高橋、田代)までお問い合わせください。