入門講座「府中トコロジスト養成講座」イベントレポート(1)
市民活動入門講座「府中トコロジスト養成講座」の第1回が開催されました。
公益財団法人 日本野鳥の会の箱田敦只さんを講師に迎えて、「場所の専門家」トコロジストになるための歩き方や観察方法など、「トコロジスト目線での歩き方」を3度のフィールドワークも含めた全5回の講座を通して学んでいきます。
第1回「トコロジストって何?」
自分が住んでいる場所への愛着を
参加者全員による自己紹介の中で講座への参加理由についても尋ねたところ、「いつも同じ道を往復するだけなので、新たな気づきが欲しい。」 「ただ距離や歩数を意識するだけでなく、色々な目線での歩き方を知りたい。」など、新しい視点を求めて参加することにしたという方が多くいました。
講座冒頭の箱田さんのお話の中でも、「自分が住んでいる場所への愛着を持ってほしい。」という思いが、「トコロジスト養成講座」を各地で行っている理由として挙げられていました
トコロジストとは
「トコロジスト」というのは、場所を意味する「トコロ」に、「~する人」という意味の「ist」を組み合わせた造語で、ある特定の地域などにこだわり、その場所に生息する生物や植物といった特定の分野だけではなく地理や地質、歴史や文化など様々な幅広い分野に興味を持つ、「場所」の専門家を指します。
また、トコロジストとして自分の住んでいる地域のことを知っていくことが、年々クローズアップされる環境問題に対しても、足元から自然保護や環境を考える第一歩にもなるという期待も込められているとのことでした。
トコロジストになろう
トコロジストになるのに特別な資格は必要ありませんが、歩き方のポイントがあります。
トコロジストの視点で歩くためにはまず、自分のフィールドを持つことから始めます。
冒頭で参加者の皆さんが挙げたような「いつも通る道」は、観察頻度も高く変化にも気付きやすくなるので、マイフィールドとして適しているとのこと。そこに生物や歴史などの複数の視点を重ねて幅広い分野へ深堀りしていき、継続して同じ場所を歩き観察し続けることによって、自分のフィールドに対する理解や愛着が深まっていくのだそうです。
こうして「各分野にのみ精通した専門家」とは違った「場所の専門家」になる、というお話に真剣な表情で興味深そうに聞き入っていました。
地図を持って町へ
トコロジストの視点で歩く際に活用するのが、複数の地図です。
地図を使うことで、普段の「歩く目線」とは違った「上からの目線」「広域の目線」を得ることが出来るためです。
加えて、土地利用図・古地図(迅速図)・立体地図(3Dマップ)など、様々な地図を用いることにより、生息する生物と場所の関係や、その土地の人々の利用方法との関わり、ハザードマップへの理解が深まるなど、自分のフィールドをいろいろなテーマや切り口で見ることが出来るようになるのですが、その地図の種類の多さには皆さん驚かれていました。
第2回では、トコロジストとしての地図の使い方を知るために、大國魂神社にフィールドワークへ出かけます。
参加者一人一人の視点や切り口で観察をしながら、実践的な地図の活用について学ぶ予定です。
大國魂神社を皆さんがどんな視点で歩かれるのかが楽しみです。
(市民ライター 温水史恵)