『地域の困りごとを解決する新手法~お互いの強みを活かす「相利協創」を学ぶ』専門講座第3回開催レポート
2026年9月6日、府中市市民活動センター プラッツにて、令和8年度市民活動専門講座「地域の困りごとを解決する新手法 お互いの強みを生かす『相利協創』を学ぶ」を開催しました。
講師には、特定非営利活動法人協力アカデミー代表の松原明氏をお迎えしました。
「相利」とは?
講座でまず紹介されたのは、「協力の基本は相利開発である」という考え方です。
「相利」とは、共通の目標を達成することで、関わる人それぞれが得られる利益のこと。活動への思いや目的が同じでなくても、それぞれに得られるものがあれば、協力関係をつくることができます。
講座では、大型のマンモスを複数人で狩っていた旧石器時代の「狩り」を例に、協力とは何かについて分かりやすく解説していただきました。
地域猫活動にみる「相利開発」
「相利」を考える具体例として紹介されたのが、地域猫活動です。
猫を助けたい人、困っている住民、地域のトラブルを減らしたい町内会、殺処分を減らしたい保健所など、関係者の目的はそれぞれ異なります。
しかし、不妊手術や餌やり、トイレの設置などを地域で協力して行うことで、それぞれの困りごとの解決につながります。
目的や価値観を一つにするのではなく、それぞれにとっての「相利」をつくる(開発する)ことが協力につながることを、具体的な事例から学びました。
「お願いする」から「提案する」へ
誰かに協力してほしいとき、「自分たちの活動を理解してもらおう」「共感してもらおう」と考えがちです。
しかし松原氏からは、協力を「お願いする」のではなく、
「この活動を一緒にすれば、あなたの困りごとが解決します。だから一緒にやりましょう」
と「提案する」ことが大切だとお話しいただきました。
そのためのツールとして紹介されたのが「相利評価表」です。「関係者」「課題」「目的」「活動」「役割」「相利」を整理することで、相手が何に困り、どうなりたいのかを考えながら、双方にとってメリットのある協力の形を検討します。
講座では地域猫活動のほか、里山保全や学習支援などの事例も取り上げながら、相利評価表の活用方法を学びました。
「相利協創」を考えてみよう
講座後半では、「相利協創ワークショップ」に取り組みました。
実際に相利評価表を使い、関係者それぞれの問題や目的、役割、得られる相利を整理しながら、どのような協力関係をつくることができるのかを考えました。
講義で考え方を学ぶだけでなく、実際に手を動かして考えることで、「相利開発」を自身の活動にどのように生かしていくのかを体験する時間となりました。
今回の講座を通して、協力するためには、必ずしも全員が同じ思いや価値観を持つ必要はなく、相手の「困りごと」や「目的」を知り、お互いにとっての「相利」を考えることが、新たな協力関係につながるという視点を学びました。
終了後にご記入いただいたアンケートでも、
「『相利』について学ぶことで、協力は設計できることを知り、今後に生かしていきたい」
「『協力する』とは何だろうと、あまり考えたことのなかった大事な問題について考え、その答えになるものを得られた時間でした」
「モヤモヤしていた所も、ズバッと。とてもわかりやすかった。実践したい」
といったお声が寄せられ、新たな協力関係を生み出していくためのヒントとなる講座であったことが窺えました。


