【しごとバー府中レポート:シビック・イノベーションナイト】二拠点生活で実践する、地域づくりの新しいカタチ
「地域と仕事」がテーマのトークイベント「しごとバー府中」。2026年1月23日は、府中市と長野県塩尻市を行き来しながら地域づくりに取り組む長南雅也(ちょうなんまさや) さんにご登壇いただきました。まちづくりや二拠点生活に関心がある方など、多彩な顔ぶれが集まりました。
府中市と塩尻市の二拠点生活を実践しながら、地域の人事コミュニティづくりや越境研修のコーディネーターを務める長南さん。認定ワークショップデザイナーでもあり、対話を大切にするその活動の根底には、「もっと人間らしく生きる」というマイパーパスがあります。
長南さんが持参してくださった塩尻市のワイナリー「CAVE桔梗」特製のぶどうジュースで乾杯し、イベントが始まりました。塩尻の豊かな恵みが参加者の心をほぐし、会場は和やかな雰囲気に包まれました。
長南さんと塩尻の出会い
組織づくりの仕事に携わる中で「なぜ社員は自分たちの組織を自分たちでつくることに参加しないのか」と長年疑問を抱いていたと話す長南さん。その答えを探るうちに、デンマークの元文化大臣ウッフェ・エルベック氏の「複数のセクターが社会課題に取り組むことが、市民の社会参画を促す」という考え方に出会いました。
その後、塩尻市のNPO法人MEGURUの「地域の人事部」という取り組みを知り、参加しました。現在は府中と塩尻の二拠点生活を実践しています。
「シビック・イノベーション」で「関わりしろを示す」ことが大事
長南さんは、「シビック・イノベーション」という理念を紹介しました。これはMEGURUの本拠地でもあるシビック・イノベーション拠点スナバで生まれた考え方で、「市民の、市民による、市民のためのイノベーション」を意味します。自分らしくあるために、自分を生かす社会を自分でつくっていくという考え方です。
この考え方は本イベントのサブタイトル『生きたいまちをつくる、地域との関わり』にも通じており、長南さんは「関わりしろは与えられるものではなく、示すもの」と考えています。自分ができることや興味を示すことで、周囲から声がかかり、新しいつながりが生まれていくのだそうです。そして実践面では、「No talk, All Action!(話すより行動)」を信条とし、まず一歩踏み出すことの重要性を語りました。
実践例として、地域課題の解決につなげる「秋の木曽漆器祭でのモーニング提供」、対話の機会を創出する「スナバダイアローグ」、組織を越えた人事の知見をシェアする「塩尻じんじコミュニティ えんべーす」などが紹介されました。
「誰かの『やりたい』に『いいですね』と呼応し、応援することも立派な社会参画です。そこから自分がリーダーとなって一歩踏み出すこともできます」と長南さんは話します。組織や社会を超えてつながることで、個人にも地域にも新たな可能性が広がっていくのだそうです。
長南さんの言葉に静かに頷きながら、自分に問いかけているような参加者の姿が印象的でした。
交流会ではさらに話が深まりました
後半は各テーブルで長南さんを囲み、活発な意見交換が行われました。
塩尻に関わるようになったきっかけを尋ねられた長南さんは、「NPO法人MEGURUで働きたくて、毎月1週間塩尻に滞在するという働き方を提案し、契約に至りました」と、自ら行動を起こした経緯を説明しました。また、二拠点生活の実際については、「塩尻での関わりが増えて、当初は月に1週間滞在の予定でしたが、現在は月に3週間ほど滞在することもあります」と楽しそうに答え、参加者も笑顔を見せていました。
「最初は塩尻に馴染みたいという思いから始まりましたが、今では塩尻の一員としてのアイデンティティが自分の中に形成されていて、地域への愛着から自然と行動するようになっています」と語る長南さん。その表情からも充実した地域活動の様子が伝わってきました。
参加者同士の交流時間では、各自が携わるコミュニティにおける地域との関わりづくりについて紹介し合い、世代を超えたつながりの大切さについて話が広がりました。
これからの展望──つながりで地域を変える
今後の取り組みとして、長南さんは社会的孤立を人のつながりで解消する「コミュニティコーピング体験会」や、木曽漆器の職人と消費者をつなぐ「職人バー」の企画を紹介しました。
参加者からは「二拠点生活の実践的な話が聞けて刺激になりました」「自分も地域で何かに取り組んでみたいと思いました」といった声が聞かれました。
自分らしく生きるために、自分を生かす社会を自分でつくっていく──長南さんが実践するシビック・イノベーションは、府中でも始められます。「やりたい」を声に出し、「関わりしろ」を示すことから。まずは小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
ライティング:結粋堂 佐藤裕子
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