【しごとバー府中レポート:今こそ技術職をしナイト】お客様ファーストを貫く、府中の実力派ネイルサロン
「地域&仕事」をキーワードに、府中で働くひとを取り上げる「しごとバー府中」。2025年7月25日は、府中駅前でネイルサロン「Free nail」を経営する森川洋子さんにご登壇いただきました。当日は多くの方にご来場いただき、イベントは大盛況となりました。
2017年に自宅サロンとして始まった「Free nail」。2023年には府中駅南口直結の商業ビル「くるる」の1階に移転し、営業中。実力派サロンとしてお客様からの評価は高く、リピート率は90%を超えるそう。府中に根差し、地元で強く愛されるサロンをどのように育てていったのでしょうか。森川さんに伺いました。
コンプレックスが自信に変わったことが、ネイルを学ぶきっかけだった
森川さんがネイリストとしてのキャリアを歩み始めたのは、今から15年前のこと。ネイルスクールに通っている間にネイリスト検定1級の資格をとり、プロとしての道をあゆみはじめました。ネイリストを目指す原体験は、ご自身のコンプレックスだったといいます。
「小さい頃から爪をかむ癖があり、常に手を隠しながら生活していました。自分の爪を土台にアクリルで爪を作り上げる施術をネイルサロンで受けたとき、ずっとコンプレックスだったものが、ほんの2、3時間で人に自慢できるくらいにきれいになったんです。こんなすごい技術があるんだ!と感動して、そこから独学でセルフネイルを学びはじめました」当初はネイリストとして仕事をすることは考えておらず、趣味としてネイルの技術を磨いていったといいます。
結婚・出産を機に、本格的に独立開業へ
商業高校を卒業後、営業職として広告代理店に勤務していた森川さん。ネイルを深く学ぶうちに、「いつか自宅サロンを開いて、のんびり子育てをしながらネイリストとして仕事ができたらいいな」という夢を描くようになっていったそう。技術を身につけるため、昼は会社員として働き、終業後は、歌舞伎町にある深夜営業のネイルサロンで働く日々が始まります。会場からは、森川さんのバイタリティーと情熱にどよめきの声が起こりました。
その後森川さんは、結婚、妊娠を機に、ネイリスト一本で生きていく決意を固めます。
「これまでいろいろな仕事を経験してきて、好きなことじゃないと持たないな、と強く感じました。そこで、自分の好きなことだけを仕事にすると決め、ネイリスト一本でやっていくことにしました」
2人目の出産後、働いていたネイルサロンを退職。2017年に自宅でネイルサロン「Free nail」を開業します。
「小さい子どもが2人いるので、どうしても仕事を最優先にできない時期がありました。そこでまずは、そうした事情を理解していただきやすい方をターゲットにしようと考えました」
森川さんが設定した「Free nail」のコンセプトは、「お子様連れでも行けるサロン、行かなくても来てもらえるサロン」というものでした。一方で自宅サロンの場合、全く面識のない新規顧客を招きにくいというリスクがあります。
「これについては、子連れで通いやすい府中市内のカフェでレンタルスペースを借り、新規のお客様にはまずレンタルスペースで施術を体験いただいて、そこから自宅サロンへ、という流れをとっていました」
森川さんは交流会や町内会などにも積極的に参加して、府中市内を中心に人脈を広げていったそう。森川さんの持つ高い技術力とホスピタリティ、加えてこうした地道な活動が実を結び、「Free nail」は順調にお客様を増やしていきます。
「お金も時間も確保できて、家族とも楽しい時間を過ごしながら、やりがいのある仕事ができる。20代の頃に描いていた夢の暮らしが実現しました」
人生の転機を迎え、お客様のために府中駅前への移転を決意
2023年、「Free nail」は、森川さんの自宅サロンから府中駅前に移転します。同時期に、スタッフも増員。事業規模を拡大するきっかけとなったのは、「もう仕事を続けられないかもしれない」と思うほどの大きな病気をしたことがきっかけだったそうです。その経験を経て、森川さんは改めてご自身の人生や家族、そしてお客様と向き合うことになったと語ります。
「もし私が長期にわたって仕事を休まなければならなくなったら、通ってくださっているお客様を困らせてしまう。それは絶対に避けたいと思いました」
そこで森川さんは、スタッフを育て、チームとして「Free nail」を成長させることを決意します。
こうして、Free nailはさらなる「お客様ファーストを徹底したネイルサロン」として新たに歩みはじめたそうです。思わぬ展開に、会場の方も静かに森川さんの話に聞き入っていました。
「Free nailの大きな特徴は、メニューの多彩さです。ネイルサロンというと、ジェルを塗るもの、マニキュアを塗るものというイメージがありますが、実はジェルを塗らずにケアだけでも、十分に美しいネイルを維持することができます。それに、ケアだけしたいというお客様もとても多いんです。いろんな悩みをお持ちの方に沿ったサービスが提供できるよう、メニューは豊富にしています。Free nailで過ごす時間を最高の時間に感じていただきたいので、技術も、サロンの内装や空気感にもすごくこだわっています」
こうした森川さんのこだわりが、「Free nail」の絶大な支持につながっています。
「メイクは鏡を見なければ見えませんが、ネイルは常に視界に入るものです。手元が美しく保たれていることは、思っている以上に自己肯定感を上げてくれます。女性がいつもごきげんで楽しく過ごせていると、それが周りの人にも伝播していきます。大げさに聞こえるかもしれませんが、私たちはFree nailで、『ネイルを通じて世界平和に貢献したい!』という野望を掲げて、日々お客様に施術をしています」
太陽のようににっこりと笑う森川さん。質疑応答では参加者の方から次々と手が上がり、予定時間を大幅に超過して、イベントは幕を閉じました。
参加者からの声
・森川さんがとても情熱的で、刺激をいただくことができました。
・私も府中で起業したいと考えており、本日参加させていただきました。サロンを軌道に乗せるまでの行動や施策などを具体的に伺えて、とても参考になりました。