つなぎすと府中養成講座を修了し、2023年の府中市民協働まつりでは実行委員長を務めた駒ヶ嶺さん。「地域に根差したコミュニティを作りたい」という思いを持ち、活動されています。心境の変化や大切にしていることなどを、インタビューで教えてくださいました。
1人1人との関係性を作る
1番目のフォロワー
府中市民協働まつりの実行委員長になったきっかけを教えていただけますか。
2022年の実行委員長である小野さんに「実行委員長をやってみない?」と言われたことがきっかけです。まだ市民活動をやり始めたばかりだったから、「まだ早いよね」ととても悩みましたが、なんで私を薦めたのかを知りたいと思い、小野さんに聞きに行きました。そしたら、デレク・シヴァーズという著名人が「ムーブメントの起こし方」について話している動画が送られてきました。
<動画の要約>
とある会場で、1人の男性が上半身裸で一風変わったダンスを踊りだします。そこに、勇気を持っている1番目のフォロワーが現れ一緒に踊りだします。この1番目のフォロワーが、どう従っていけばいいのかを周りに示しているのです。それにより、周りの人が集まってきて段々と人数が増えていきます。この動画からは、リーダーだけがすごいのではく、周りを巻き込む力のある「1番目のフォロワー」も重要な存在であることが感じられます。
https://www.youtube.com/watch?v=IdULdrNAlNs
1番目のフォロワーって、裏の立役者でもあり、リーダーと周りを繋いでいる人のことですよね。
そうですね。それで、小野さんに「僕は、最初に踊りだすタイプなんだよ。駒ヶ嶺さんは、1番目のフォロワータイプなんだよ。あなたのような人が実行委員長をやることによって、きっと駒ヶ嶺さんみたいなタイプの人に勇気を与えると思う。だから、やってほしいと思ったんだ。」と言われたんです。
では、駒ヶ嶺さんは人と人を繋ぐロールモデルだったということですね。
まあ、勇気を与えたかどうかは知らないけれど(笑)
今までは常に、やれるかどうか自信がなかったのだけれど、小野さんにそう言われた時に「私にできるのか」という発想をやめようと思いました。
その瞬間に自分を変えようと思われたのですね。
「私を認めてくれる人がいるんだ」とすごく嬉しかったんです。だから、やってみようと思いました。実行委員長をやるにあたり、15人の企画運営委員で始めたので最後まで誰も欠けることなく祭りを終えることを目標に掲げました。そうした中で、目標を達成することができたので嬉しかったです。
それでは、今行っていることを教えてください。
プラッツの5階で、月2回「話してスッキリ ほっこりカフェ」を開催しています。ゆくゆくは、「自分の住んでいる場所で、そこに行くと誰々がいるから行ってみよう」と思える場を作りたくてね。
それに、ほっこりカフェに来ている人たちの1人1人をよく知っていれば、いつか誰かと繋げられるかもしれない。だから、1人1人とコミュニケーションを取り、親しい間柄の人を増やしています。「知っている」だけだったら、「知っている」で終わってしまうのでね。知り合って友達になっても、信用できるようになるにはそれなりの年月がかかると思っています。だから、関係性が切れないようにしつこく声を掛けているんです。
自分の気持ちに蓋をしない
お話を聞いていて、駒ヶ嶺さんは個々人の本質を知る努力のでき、周りを巻き込む力のある方だと思いました。将来の夢を実現するために、今大切にしていることは何でしょうか。
「地域をこうしたい!」という理想像がまだ描けていないので、段々鮮明にしたいなと思っています。そのためには、私自身が楽しむことが大事だと思っています。私自身が楽しくないと私と一緒にいる人も楽しくないでしょうし…。だけど、我慢することであったり、誰かに尊敬されるべきとかに日本人は縛られがちじゃないですか。それが、自分を苦しめていたりとか、自分の本当の気持ちに蓋を知らず知らずのうちにしていたり…。
私もついつい自分の本当の気持ちに蓋をして、人に合わせてしまうところがあったので、今は我慢せず素直に自分の気持ちを伝えようと思っています。自分のやりたいことをやって楽しむということがすごく大事で、そういう、楽しいことがある、楽しい人がいる場所を作りたいと思っています。
自分の意思で流されていく
駒ヶ嶺さんは自分から話しかけに行かれていますが、それが苦手なタイプの人もいると思います。そういう方が色んな人と繋がれるようにするために、どうしたらいいですか?
「自分の意思で流されていく」ことですね。
例えば、「あのお店美味しいよ」と言われたら私は絶対に行くんです。それに行くか行かないか。行ったら、その話が今度会ったときにできますよね。そうしたら、相手は「私が言ったお店に行ってくれたんだ!」と思ってくれますよね。そこから、関係ってできていくと思います。
人から何かを誘われた時こそ、繋がりを持つチャンスですね。
お話を聞いていて、自分の心に強く残っているエピソードを思い返しました。
ある日大学の講義で教授がイベントの告知をしていたのですが、私は行かなかったんです。後日、教授に行ったかどうかを聞かれて行かなかったことを伝えたら「今度からチャンスを逃さないようにね」と言われてしまって…。自分の興味・関心とは違っていても、行ったら何かしら得るものがあったのではないかと少し後悔しています。
あくまでも“自分の意思で、自分で決める”ということが大事だと思います。
「こういう理由があるから行かない」と決めたのならば、行かなくていいと思います。
私も今までは「言われたら行かなければ悪いかな」という思いで流されていました。それで得たものもありましたが、失ったものもたくさんありました。
「相手から勧められたことを優先したことにより、自分のやりたいことができなかった」ということにならないようにして下さいね。
ありがとうございます。これからは、周りに流されすぎず取捨選択を意識しようと思います。
駒ヶ嶺さん、インタビューをお受けくださりありがとうございました。
インタビューの中で、コミュニティを作るには人との関係性を築くことが不可欠であることを学びました。“1人1人との関係性を作り、知り合いを増やしていくと気が付いたらコミュニティが出来上がっている“。時間のかかる大変なことだとは思いますが、誰でも始められることだと思いました。今回印象に残っていることは、インタビュー終了後に私に向けて言ってくださった「追加で聞きたいことがあったらいつでも聞いてね。だって大人としゃべることは緊張するし、とても大変なことでしょう。今日、全部聞けなくてもいいんだからね。」という言葉です。駒ヶ嶺さんを記事に取り上げるためにインタビューさせていただきましたが、私の気持ちに寄り添ってくださいました。相手のことを常に考え、尊重してくれる。そのような1人1人を大切にしていて、飾らない人柄が駒ヶ嶺さんの魅力だと感じました。
(2024年3月21日 取材・文:インターン 不破 瑠莉)