加藤 良江さん(認知症予防ネット府中)
誰もが楽しめる「認知症予防ゲーム」を通じて、認知症の予防に取り組んでいる加藤さん。活動のきっかけは、偶然見たテレビ番組!?
優しさが降り注ぐ社会へ
加藤 良江さん
グッパー体操、お手玉まわし、シーツ玉入れなど、脳を活性化させる「認知症予防ゲーム」の体験会を行っている、「認知症予防ネット府中」代表の加藤良江さん。
活動を始めたきっかけや今後への思いを伺いました。
きっかけは「笑いヨガ」
「笑いヨガに出会ったのは10年前です。お昼ごはんを食べながらテレビを見ていたんですね。“午後は〇〇思いっきりテレビ”、ご存じですか?」
みのもんたですね。
「そうそう(笑)。それで“笑いヨガ”の特集をやっていたんです。ナマステ笑いーとか。なんだそれ、面白いなと思って録画しました。裏が白いチラシにメモを取って、それを見ながら近所の人たち5、6人でやってみたんです。そうしたら冷え性の自分が、そのあと30分間、身体がぽかぽかぽかぽか……。なにこれって。笑うだけでこんなに身体があったまるのって。これはいい、お金もかからないで健康になれると思って、“笑いヨガリーダー養成講座”に参加しました」
認知症予防ゲームとの出会い
「笑いヨガでの知り合いに、『高林先生の“みんなの認知症予防ゲーム”に参加したんだ』って言われたんです。なんだ認知症か、私は興味ないからいいやって思ったんですけど、でもまあ社交辞令で(笑)どんなことをしたのか訊いたら『うん、優しさのシャワーでね』って。そこでもう掴まれちゃった。その言葉に」
高林実結樹さんはNPO法人 認知症予防ネット名誉理事で、認知症予防ゲームを体系化された方ですね。
「そうです。まずは個人で指先を動かすゲームから始め、徐々にみんなで協力し合って身体全体を使うものにしていく。その場にいるすべての人に、優しさのシャワーが降り注ぐように接する。水鉄砲じゃないですよ、一瞬の優しさではなくて、お迎えからお見送りまでずっと優しさが降り注ぐイメージです。ちょっと不安な思いで来た方も、ここにいると安心だなって思っていただけるような気配りをすることが大切ですね」
「認認介護」の時代に大切なこと
「これからは、老老介護を越えて、認認介護の時代ですもん。認知症の人が認知症の人を介護する。もう大変。
小学校でも、認知症についての話を聴く機会があるといいと思います。認知症について学ぶと、人生が変わるのではないかとさえ思います。
認知症にならないのはもちろん大事ですけど、もしも認知症になったとしても地域で楽しく暮らせるような、そんな社会を作っていくことが今後は大切なんだと思います」
そのためには、どうしたらいいでしょうか。
「みんなが“優しくある”ことかな。誰でも優しさの基本は持っているんですけど、忙しいと優しさを表現しないで人生過ごしちゃう。それは個人にとっても社会全体にとっても残念なことです。
まず家族ですね。家族がピリピリしてるんじゃなく、それぞれが忙しくても笑い合える家族になる。
家族に優しくして、それから目の前の人に優しくする。それを心がけていれば、その連鎖で社会が優しくなります」
加藤さんがご家族に対して、気を付けていらっしゃることって何ですか?
「夫がね、あまり笑わない人だったんで。表情もあまりなかったし。怒るとか、マイナス方面の感情は出してましたけどね、プラスはなかったんです。だから何とかして笑わせてやろうと思って、くだらない冗談を言って夫が笑ったら『やったあ!』って(笑)。そういうのを日々積み重ねてたら、だんだんテレビを見て大笑いするようになったんですよ」
笑う事に慣れてきた。
そうそう。大声で笑えるようになってすごいなって思います。
人生って一回きりで、笑って過ごしても一回、泣いて過ごしても一回。だったら笑いたいですよね」
加藤さんが開催している「認知症予防ゲーム体験会」の様子。みんなで大きな布を持ち、真ん中の穴にボールを入れます。息を合わせて、みんなで挑戦!
(2018年10月4日 インタビュー)