渋谷 亮介さん(プラッツインターン 作成記事)
プログラミングにより音楽とシンクロして打ち上げるシミュレーション花火。今回は「シミュレーション花火協会」の設立者であり、代表者の渋谷さんにお話を伺いました。根っからの花火好きである渋谷さんが活動するにあたってどのような想いを抱いているのかを語っていただきました。
花火の魅力を知ってほしい!!
シミュレーション花火との出会い
―もともと花火が好きだったのですか?―
学生の頃から花火が好きでした。中学生、高校生の頃から近所で花火大会があると見に行って、だんだんと最前列で見るようになりました。大学生になってからは県外にも遠征にいくようになりました。そうするうちに「こういう打ち上げがあったらおもしろい」「こういう音楽に乗せたらどんな風になるのか」と思うようになり、YouTubeなどでいろいろな花火の動画をみているうちにシミュレーション花火を発見しました。
―シミュレーション花火とは?―
コンピュータで創るバーチャル花火です。プログラミングでは色や形などを全部自分で設定します。花火の中に入って花火を見ること、打ち上げの真下に行って見ること、ドローンの視点で見ることもできます。また、シミュレーション花火は現実の花火と異なり法律の縛りが少ないので、思い描いたように花火を打ち上げることができる自由さがあります。想像力をほぼダイレクトに形にできるのがシミュレーション花火の魅力の一つですね。
シミュレーション花火の作成の様子
シミュレーション花火協会と花火文化
―団体設立のきっかけを教えてください―
他の国にはシミュレーション花火の競技大会がありましたが、日本には見当たりませんでした。そのため日本でも競技大会を開催しようと思いました。こうした活動を通して皆さんが「きれいなシミュレーション花火をつくりたい!」「もっと実物の花火を見たい!」と思ってくれたら花火文化全体の発展に繋がっていくのではないかと思い団体を設立しました。
―渋谷さんの考える花火文化とは?―
芸術、ケミカル、歴史など花火に関わる様々な側面にまたがった文化ですかね。歴史でいうと花火には1400年の歴史があり、ケミカルでいうと花火の色に関する炎色反応、打ち上げの仕組みなどの側面があります。花火文化は人によって魅力的に感じるものが変わるんです。去年の協働まつりに参加した時に来られた方もそれぞれ反応が違いました。府中の競馬場の花火を説明していた時にはきょとんとされていましたが、炎色反応の話をしだすと喜ばれる方がいらっしゃいました。この方は花火文化の炎色反応が魅力的に感じたようでした。他にも大きい花火大会を教えると喜んでくれる方、花火の仕組みを説明すると喜んでくれる方など様々な方がいらっしゃいました。
―活動する上での目標を教えてください―
ただ単にシミュレーション花火を打ち上げるだけでは訴える力がなく、ただの花火愛好家団体になってしまうので、もっと世の中に広く利益があることをしたいと考えていました。そのうちに皆さんに花火文化の魅力を知ってもらい、花火文化の発展に貢献したいと思うようになりました。また、シミュレーション花火は外出しなくても見られる、作ることができるという特徴があるので介護で家を離れられない方や長期入院されていて病院から出られない方などにもエンターテインメントとして花火を届けたいと考えています。加えて、シミュレーション花火を通じてデジタルアートの発展に貢献できればと考えています。この3つを軸に活動しています。
―活動とその影響はどのようなものがありますか?―
大きな活動の一つが競技大会の運営です。それに加えて去年、プラッツで花火文化勉強会というイベントを開催しました。その時、府中市内にいらっしゃる花火師さんを講師としてお呼びして講演していただきました。花火の打ち上げには足場を作るのですが、それが斜面の場合すごく大変だという話や花火師は前日と当日の夜、半徹夜状態で作業しているという話を花火師さんが話されると、次第に皆さんが花火に興味をひかれているように感じました。また、大國魂神社の鳥居の一つはその煙火店さんが寄進されたものだと花火師さんが説明されました。このようなエピソードは花火大会に行くだけでは分からない一面です。こういうことを知っていただけたことも一つの成果だと思います。
シミュレーション花火の作品
今後の活動
長期入院している方に楽しんでもらいたいというのを目標の一つに活動していています。長期入院の子どもたちの中には病室の向きによっては本当に花火を見たことない子もいます。そういうところでシミュレーション花火を上映したいという想いがあります。それができたらすごく活動も充実すると思います。そして、一緒に活動してくれる方が増えて欲しいです。いろんな病院で上映したく、求められるなら外国でもどこでも行こうと思っているので、同じような志を持ってくれる方が集まって欲しいと思っています。
シミュレーション花火の作品
渋谷さん、インタビューをお受けくださりありがとうございました。
今回インタビューさせていただいた中で、まず渋谷さんは花火が人一倍好きであるという印象を受けました。好きだからこそシミュレーション花火を発見し日本でも大会を開催されて、花火の魅力を知ってもらう活動を幅広く行われていると思いました。現在はVRにも挑戦されているようで、単身赴任の方やその家族など遠く離れて暮らしていても、VRの中であたかも隣に座って一緒に花火を見ているような演出をしてみたいと伺いました。こういった渋谷さんの活動は花火が好きであることに起因して花火文化の発展に寄与されているだけでなく、人の喜びや幸せにも寄与されていると思います。好きな花火を他人に押し付けることなく、シミュレーション花火を通じて常に人を思いやる心があるというのが渋谷さんの大きな魅力であるとかんじました。
(2023年9月18日 取材・文:インターン 佐藤 佑紀)