【ご報告】第7回市民協働推進シンポジウム(2018.11.4開催)
今年のテーマは「あなたとつくる府中のかたち~一人ひとりの”得意”を発揮できるコミュニティのあり方~」。
「地域コミュニティ」を活かしたまちづくりの可能性について、府中の協働の事例をパネリストから聞きながら、一緒になって考えました!
当日に参加できなかった方々へも、充実した内容を詳しくお伝えします。
第7回市民協働推進シンポジウム「あなたとつくる府中のかたち~一人ひとりの“得意”を発揮できるコミュニティのあり方~」報告!
平成30年11月4日(日曜日)、バルトホールにて「市民協働シンポジウム」を開催しました。
ちょっと長くなりますが、当日お越しになれなかった方も、じっくりとお読みください!
まずは、「市民協働」を積極的に推進する高野律雄 府中市長より、ご来場の皆さまへご挨拶いただき、シンポジウムがスタートしました。
【第1部・基調講演】「コミュニティから広がる新たなまちづくりの可能性」中島智人さん(産業能率大学経営学部教授)
中島先生の講演は、こんな問いかけから始まりました。
「コップを思い浮かべてください。コップの『使い道』をできるだけ多く考えてください。」
「次に、それぞれの意見を隣の人と分かち合ってください。何通りの『使い道』がありましたか?」
会場にお越しいただいた方々は、隣に座っている人と意見を交換し合いました。
自分にはない発想を隣の人は持っている、ということを発見!
<協働とは>
・共通の目的に対して ・協力して ・働くこと
『良い』協働になるためには、このコップの事例をもとにすると、
- 参加者一人ひとりが、それぞれ『使い道』を考えること、
- 参加者が、お互いに違う意見を考えていること、
- 参加者の特徴を見出し、時には参加者を支援し、参加者同士を結び付ける人(まとめ役)がいること。
(・・・なるほど、協働には、お互いが違うこと、違いを活かし合うことが重要なんですね!)
<「公共」の考え方の変化>
「公(おおやけ)」は、本来「官」の独占物ではなく、「民」(市民活動団体・NPO・企業など)を含めた主体によって担われるもの。多様なセクターが協働しあって新しい公共空間の創造を目指すことが大切。
市民は単なるサービスの受け手ではなく、行政とともにサービスを創る主体となることが重要となる。自らが参加することが「生きがい」となり、新しいつながりが生まれてコミュニティ再生の基盤となる。
(・・・一歩家から出たら、そこは公共空間。市民の誰もがその担い手である、ということに、納得です!)
<相乗効果を生み出す力>
地域にとってプラスになることを、みんなが当事者意識を持って活動する。最初の「コップの使い道」で隣の人と話し合い、意見を聞くうちに、それまで考えつかなかった使い道を思いついたなら、「1+1=2+α」を生み出している。
(・・・それが協働のすごいところです!)
<協働のジレンマ>
「異質性・多様性」 VS 「同質性」
異質であればあるほど、共通認識を持つことは難しく、共通言語を作っていくことから始めなければならない。しかしその異質さこそが大きな「+α」を生みだす。
また、しばしば「強い」セクターの価値基準への同調が求められることもある。
そういったジレンマを払拭するために、協働のまとめ役「コーディネーター」が重要となる。
(・・・コーディネーターには相互理解をはかっていく力量が問われます!)
<協働の目指すもの>
協働を進めていくためには、まず市民活動が活発であることが必要。市民や団体、行政がそれぞれの強みを生かし、各自が主体性を持って、新しいものが生まれるんだという確信を胸に行動することが大切。
(・・・確信をもって臨むには、信頼感が不可欠ですね!)
基調講演では協働について、分かりやすいご講演をいただき、参加者の皆さんもしっかり納得したうえで、第2部へと続きます・・・。
【第2部・協働事例紹介】府中で活躍する3名の方々に、それぞれの活動や思いを語っていただきました
「地域で支え合う新しい福祉」糟谷明範さん(株式会社シンクハピネス代表取締役)
2014年、株式会社を設立。訪問介護ステーションや府中市地域リハビリテーション活動支援事業のほか、多磨霊園駅近くでカフェ「フラットスタンド」なども経営。
<誰のための医療なの?>
病院で勤務していた時、患者さんに言われたこと。「いつもリハビリしてくれてありがとう、でも私たちも、あなたたちに気を使ってリハビリを受けているんだよ」・・・医療者が高齢の患者さんと接する時、上からの物言いや態度になってないか、誰のための医療なんだろうと考えさせられた。
<いま、助けるということ>
訪問看護ステーションで働いていて、「今この瞬間も、地域のどこかで助けを求めている人がいる。その人たちのところに手が届くためには自分でやるしかない。」
<カフェを始めたきっかけ>
「普段困っていることはありませんか?」と市民団体の会合で質問すると一人の参加者から、「あなたたちは病院の人だろう、地域のことなんか分からないくせに」と言われた。最初から医療者として地域の人と接しても、医療や福祉の話はなかなか聞いてもらえない。地域の住民と触れ合い、普段どんな生活をしているのか、課題は何なのかを知ってからでないと駄目なのだと思い、カフェを開くことにした。
<課題解決に向けて>
健康な住民は医療福祉について関心がない、介護者はどこに相談したらいいのか分からない、市や包括支援センターも相談場所を探している、みんなが集まることのできる場所がなく、近所の方にどこまで声をかけたらよいのか分からない、職能団体はあるが横のつながりがない、制度という枠では望む暮らしができない、など様々な課題がある。
一人ひとりができること、やりたいこと、みんなが求めていることを引き出し、「夢」や「趣味」や「労働」でつなげ、カタチにしたい。医療や福祉だけでなく、芸術、教育、子育てといったさまざまな分野の人たちと力を合わせてみんなで動いていく、それが私の考える協働のかたち。
「商店や大学との連携によるまちづくり」廣瀬健さん(一般社団法人まちづくり府中 タウンマネージャー)
街を綺麗に整備したからといって完成ではなく、場所として運営していくためには「まちづくり会社」の存在が非常に大事だと痛感。経験を活かし地元に貢献したい、府中をみんなと楽しい街にしたい・・・2017年に独立して府中で建築士事務所を開設し、まちづくり府中のタウンマネージャーに着任。
<「まちづくり府中」設立の目的>
「中心市街地の活性化を実現するとともに、その効果を市全体に波及させて行くため、エリアマネジメントの担い手として活動を行う」こと。
府中を「住みたい」「訪れたい」「働きたい」まちにしていくことを目指している。
<企業や大学、商店との連携>
さまざまな人たちと連携して、事業を行ってきた。
「キテキテFUCHU」・「府中ワールドフェスティバル」・「府中まちなかフェスタ」・「府中駅周辺商店街マップ」・「得するまちのゼミナール『まちゼミ』」・「竹あかり」・・・etc...
<これからの「まちづくり府中」>
- 中心市街地から街全体の活性化を目指す →街の核をつくり、点から線、線から面へ
- 歴史・文化・自然・施設・人を活かす →今ある資源や社会的共通資本の活用
- 地域内の連携を作りだし、街のブランド作りを行う →シビックプライドの醸成
- 地域を実現するのは、結局「人と人との繋がり」 →関係人口を増加
「今年の年末も竹あかりを作ります。みなさまのご参加をお待ちしています!」
「地域の一人ひとりで子どもを育む活動」益山正江さん(西府文化センター圏域コミュニティ協議会副会長)
府中市青少年対策委員会(青少対)に参加したことをきっかけに、20年以上子どもに関連した活動を継続。
<関わっている組織について>
府中には11の文化センターがあり、自分が所属するのは、西府町、本宿町、日新町、三好町の一部を対象とする「西府文化センターコミュニティ圏域」。コミュニティ協議会は、地域の自治体、シニアクラブ、万燈会、消防委員、青少年対策地区委員会、自主サークルの代表者で構成されている。
<活動を始めたきっかけ>
3人の子どもも大きくなり時間の余裕ができたところで、近所の方から「青少対に入ってくれない?」と誘われ、軽い気持ちで始めた。続けられるか不安もあったが、「無理しないで」の言葉に励まされ、良い方々に巡り合えてやってこられた。
<青少年育成の組織の目的>
- 子どもたちの安全を守ること…通学路の見回りなど
- 子どもたちが自分の住んでいるまちを好きになってくれること…お祭りや運動会、音楽会などを開催。いろいろなイベントを通じて仲間を増やし、楽しい思い出を作ってほしい。大人になった時、次の世代に楽しい思いを伝えてほしい。そんなふうに世代がつながって、愛されるまちができていけば素晴らしい。
自治会長、班長、児童委員、学校、保育園、幼稚園、病院、警察、児童相談所、市役所の子ども家庭部など、いろいろな立場の人たちが連携することが大切。
<地域で子どもを育むということ>
すべての人が、できることを無理のない範囲でしていけばいい。何も得意なことはないと思う方がいたら、近所ですれ違う方に挨拶をしてみる、そこから始めればよい。
今は、子どもたちと一緒にたくさんの楽しい思い出を作ることができる喜びでいっぱい。
これからも地域の子どもたちの笑顔のために、みなさんと協力しながら活動を続ける。西府の子どもたち、府中の子どもたち、そして日本中、世界中の子どもたちがみんな笑顔で毎日を過ごすことを、心より祈って。
パネルディスカッション
事例紹介をしていただいた3名の方&コーディネーター中島先生で、新しい人を巻き込む工夫や、行政とのつながりで工夫していることや課題だと思うことなどについてディスカッションを行いました。
パネリストの皆さんからは、それぞれの経験から培った、活発な意見が飛び交いました!
「地域で活動されている方とつながるきっかけは大事にしたいです。一緒に何かすることができたらいいですね。」
「協働するためには、みんなが活躍できる安全な場所を作る、市民も企業も行政も、それぞれの立場で場を作っていくことが大事だと思います。」
「地域にはいろいろな“得意”を持った人たちが暮らしています。それぞれの持ち前を活かして問題を解決し、やりたいことを実現する手段として“協働”が存在するのです。」
最後に、府中まちコム舎と府中市が協働で製作した「市民協働啓発動画『今日、どう?協働!』」を鑑賞
【参加者の感想】
- 多くの世代がすむまちづくりは難しいと感ずるのではなく、一歩参加することから。
- 一般の方をいかに巻き込んでいくかについて詳しく具体的にきくことができ、大変勉強になりました。現場で活躍されている方の意見には重みがあり、貴重な勉強が出来ました。
- より多くの市民が参加するための場を提供しつつ、押し付けにならないようにする。というのは、心にひびきました。
- 事例も興味深いのでしたが、課題を知ることができたのが有意義でした。
- 基調講演では様々な考え方があって、異質性があることもヒント(協働)につながることの大切さは、重要だと思った。現状は異質な人の意見だから、あまり聞かない、言わせておけば良いとの風潮がある。
【プラッツ担当者より】
「地域コミュニティ」を共通のキーワードとして「協働」についての考え方を整理でき、また身近な実践者の言葉は来場の皆さんの心に響きました。
137名の方々にお越しいただき、高野市長や府中市職員も多数参加した今回の協働推進シンポジウム。
「協働」とは難しいことではなく、一人ひとりの得意を発揮してつながりを広げ、お互いを尊重しながら大きな輪にしていくことが大切だとあらためて感じた2時間でした。
一人ひとりが公共の担い手として主体的に参加していけるように、このシンポジウムが少しでも参加してくださった皆さんの背中を押すことができたならよかった、と思います。
お越しいただいた皆さん、ご登壇いただいた4名の方々、ありがとうございました。
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