【ご報告】第8回市民協働推進シンポジウム「人生100年時代 アクティブシニアが府中を変える!」(2019.11.2開催)
定年後や子育てが一段落したあとをどう過ごすのか、問われる時代です。ひとりひとりが好きなこと、得意なことから始める地域活動で、府中の未来をどうやって創っていけるのか?ぜひご一読ください。
今年のシンポジウムテーマは、「人生100年時代 アクティブシニアが府中を変える!」
毎年11月は、府中の協働推進月間のため、市内各所で最も多くのイベントが開催される期間です。
そんな中、多くの方にシンポジウムへご参加いただきありがとうございました!
今年は開館時から、「協働」をテーマとしたキャラクターたちが登場する新たなムービーを上映し、来場者をお迎えしました。
【第1部・基調講演】
「スキルや専門性を活かした市民活動やボランティアのすすめ」
嵯峨生馬さん(認定NPO法人サービスグラント代表理事)
概要紹介
セカンドキャリア、ライフシフトなどが言われて久しいけれども、退職後の人とのつながりの希薄化は、健康と深い関連性があり、認知症や早期死亡のリスクが高まる。自立高齢者のキーワードは「栄養・運動・社会参加」。
プロボノのプロは「プロフェッショナル」のプロと思われがちだけれども、プロボノ(Pro Bono)の語源は、for goodという意味のラテン語、つまり「公共善のために」という意味で、その「For」の部分。社会参加の入り口としては、職業上のスキルを活かせるよ、と誘った方が、いつもと同じことをすればいいのか、ということで入りやすい。プロボノ活動において特に発揮すべきスキルはビジネスの基盤ともなる力である。手順書の作成や組織課題の整理、運営マニュアルの作成などは得意分野である。
「市民の社会貢献に関する実態調査」(平成27年度)によると、ボランティアに関心のある人の割合は59.6%、しかし実際にボランティアに参加した人の割合は23.3%。その乖離はどこから来るのか?ボランティアに参加しない理由は?
文科省の平成16年調査で「ボランティアに参加しない理由」を聞いた答えの上位は「一旦始めるといい加減なことはできない」「他にもやりたい余暇活動がある」「自分にどのような活動ができるか分からない」というものであった。そこが解決されればボランティアに参加するということである。
プロボノの「ベストプラクティス」は期限が設定されていて、やめることができる事、週3~5時間など負担にならない時間でできること、自分に責任を負わされることなくチームで取組めることなどであると考えられる。その点に配慮してサービスグラントがコーディネートしたプロボノ活動に参加した人の82%がまた参加したいと答えている。
プロボノ参加により自身の視野が広がり、人間的な成長につながったり、今の仕事に活かせる有意義な経験を得ることができた、などの効果・影響があったとのことである。
これから活動に参加しようという方に向けて、NPOや地域団体の特徴をあげると、組織がフラットで境界線があいまい、登場人物が多い、ビジネスモデルが複雑、財政基盤が弱い、などがある。そういうものであるので、その中で自分から動いて「すき間を埋める」、意識的に「ポジティブ」を探す、お客さんにならずに「参加者」になる、を心がけるとうまくいく。
ぜひ「市民協働まつり」などに来ていただいて、きっかけを見つけてほしい。
【第2部・協働事例紹介】
府中で活躍する2名の方々に、それぞれの活動や思いを語っていただきました。
〇「アクティヴシニアが支えるJAZZinFUCHU」
市川博さん(JAZZinFUCHU実行委員長)
Jazz in Fuchuは2006年市制50周年イベントとしてスタートし、2012年からは完全民営化、徐々に規模を拡大し、現在は140バンドが参加して23か所でライブ演奏を行うイベントに成長した。
課題は慢性的に不足するスタッフと財源。府中市の助成金は年々減っていくので参加費の値上げやオフィシャルスポンサー等大企業の参画の場の提供も検討中である。人材についてはシニアばかりで若い人が入ってこない。
今後は若年層にも魅力的なテーマや活動の場を模索したい。
(・・・動画でケヤキ並木パレードの模様も紹介・・・)
〇「地域の“つながり”を感じられる「ひがしふちゅう駅前こども食堂」
~こどもの成長を支え、住民同士が交流できる居場所づくりを通じて~
林比典子さん(ひがしふちゅう駅前こども食堂代表)
東府中駅前で2018年9月より「ひがしふちゅう駅前こども食堂」をスタート。
日本では7人に一人が相対的貧困と言われて、友達が持っているような当たり前の物が買えない、あるいは親が仕事で忙しかったり地域につながりがなく、こども一人でご飯を食べる機会が多い子もいる。一人暮らしの高齢者のためにも、大勢で集まって一緒にご飯を食べられる場所ができないか?と考えたとき、自分の住む地域には50畳敷きの公会堂がある、思い当たった。
府中ではこども食堂が4年前から始まっていた。自治会役員の仲間と、市内のこども食堂にお手伝いに行ってノウハウを勉強し、自治会の合意も得て、社会福祉協議会や民生委員の仲間にも声掛けしてスタッフを集めて、ひがし府中駅前こども食堂は市内で5番目にスタートした。
(・・・写真でメニューや参加者の様子を紹介・・・)
毎回20人ほどのボランティアさんに協力していただいているが、広間にブルーシートを広げて準備するところから、片づけてブルーシートを畳んで、というところまでは主力メンバーの高齢女性には厳しいものがあるので、男性の方や、若い方にも参加していただきたい。毎回のように食材もご提供いただける方や企業さんがいて大変ありがたい。
これから人生100年時代と言われ、高齢者が互いに助け合っていかなければならない時代、人間は孤独でいることが一日に15本ものたばこを喫うのと同じくらい身体に悪いと言われている。地域の中で仲間を作り、お互いを支え合いながらいつまでも元気に過ごしていきたい。
〇パネルディスカッション
コーディネーター:嵯峨さん
パネラー:市川さん・林さん・プラッツ 吉田館長
□(嵯峨さん)市川さんに:メンバーはどんな方々なのか?
★(市川さん)音楽が好きでほかのなにごとにも縛られない。
□(嵯峨さん)市川さんに:出演するのに審査をするんですね?
★(市川さん)独自の基準を設けて実行委員メンバーで審査をすることもボランティアの一つ。
□(嵯峨さん)それぞれの活動の魅力は?
★(市川さん)実行委員の中にはミュージシャンもいて、店などでミーティングをしながら、お酒を飲みながら、演奏を楽しんだりもする、という楽しみもある。
★(林さん)困っている方だけでなく、ほとんどは普通の親子さんや一人暮らしの高齢者。今は核家族が多いので、大勢で食事をすることを楽しんでくれていることがうれしい。スタッフもやりがいがあり、ミーティングで改善点などを話し合ったりやりがいが持てることがうれしい。
□(嵯峨さん)市川さんご自身はどんなお仕事だったか?お仕事の経験が生かされていたりするのか?
★(市川さん)かつて会社員時代は営業の仕事をしていて、対外関係の交渉事など、経験も生きている。
□(嵯峨さん)林さんは地域でいろんなことをやってこられて、それがこども食堂につながっているんですね?
★(林さん)長く民生委員・児童委員をやってきて青少年対策地区委員会にも入って活動してきた。社会福祉協議会にも関わっている。その活動の一環の「わがまち支え合い協議会」でこういうことをやりましょう、と提案したところがきっかけになっている。困難を抱えているお子さんがいると知ったときに、放っておくことはできなくて、地域のつながりで何かできる事をしたいと思った。
□(嵯峨さん)吉田館長に。プラッツの紹介をお願いしたい。
★(吉田)府中市令和元年度の世論調査で、市民活動に関する項目の結果の一部を紹介する。市民活動は重要だという方が80%を超えているが、取り組んだことがない方が78%。取組んでいない理由は「時間がないから」という答えが一番多い。それは少し言い訳のようでもあり、自分事として捉えていないのかな、と思う。定年退職後の大切なことは3つあると言われている、「経済」「健康」「生きがい」。趣味や楽しみだけでなく、達成感や人の役に立つことが「生きがい」につながる。
時間がない、のほかに「きっかけがない」という理由もある。そのために府中にはプラッツがある。なにかしらお役に立つ情報やきっかけが見つかるので、ぜひ来ていただきたい。
「皆様の決意シート」を協働まつりで貼らせていただくので、ぜひなにか一歩の決意をお書きください。
□(嵯峨さん)フロアから嵯峨さんへの質問シートを見ながら・・・
・「プロボノについて初めて知りました」、というコメントをいただいたが、まだまだ日本では10%くらいしかこの言葉を知らないので、これからだと思う。
・「定年後の男性の参加を広がるために工夫していることはあるか」、プロボノを体験してみよう、とかプロボノで地域団体を応援しようというプログラムを作ったりしている。
・「なんらかのボランティアに参加したい気持ちはあるがスキルや経験がないのでどうしたらいいか」、まずは参加者になってみて、団体のこのあたりだったらできそうかな、ということを探ってみるのがよいと思う。
□(嵯峨さん)お二人から参加者の皆さんへのメッセージを。
★(市川さん)どなたでも結構ですから一緒に楽しみましょう。
★(林さん)プラッツや社会福祉協議会のわがまち支え合い協議会の会合などにぜひお越しいただきたい。こども食堂でもボランティアさんはいつでも大歓迎。
□(嵯峨さん)ぜひ皆さん、新しい一歩を皆さん踏み出していただきたい。