コミュニティカフェ開設連続講座「人が集まる居場所のつくり方」第5回開催レポート
コミュニティカフェ開設連続講座「人が集まる居場所のつくり方」(全7回)
2019年12月8日に行われた第5回講座の報告です!
コミュニティカフェ開設連続講座「人が集まる居場所のつくり方」第5回開催レポート
2019年12月8日(日)、コミュニティカフェ開設連続講座「人が集まる居場所のつくり方」の第5回が開催されました。本講座(全7回)では、「居場所づくり」をテーマに、さまざまな分野の実践者を講師にお招きして、新しい「居場所」を立ち上げるための事業プランを作成していきます。
第5回のテーマは「元祖『こども食堂』に学ぶ 地域を元気にする取り組み」です。2012年、全国に先駆けて「こども食堂」をスタートさせた、「気まぐれ八百屋だんだん」の事例をお手本に、ひとつの居場所から始まった活動が地域全体へ広がり、日本中へ展開されるポイントは何だったのかを探ります。
第5回テーマ:元祖『こども食堂』に学ぶ 地域を元気にする取り組み
第5回概要
【開催日時】2019年12月8日(日) 13:15〜16:45
【開催場所】府中市市民活動センター プラッツ 6F 和室
【講 師】近藤博子さん(気まぐれ八百屋だんだん 店主)
https://www.facebook.com/otadandan/
https://ameblo.jp/kimagureyaoyadandan
【事例紹介】関谷昴さん(シェアハウス「たまりば!」/ Co-study space「Posse」)
https://www.facebook.com/posse.fuchu/
第5回の講師は、大田区にある「気まぐれ八百屋だんだん」代表の近藤博子さんです。2008年に元・酒屋の店舗を借りて開店し、八百屋の買い物を通した対面での会話を元に、見過ごされがちな地域のニーズを拾い上げながら、子供からお年寄りまで幅広い世代を対象とするイベントを開催してきました。
府中の事例紹介は、東京外国語大学の学生時代にシェアハウス「たまりば!」を開始した関谷昴さん。その経験を活かし、より若い世代である中高生向けに、空き家を活用して学習スペースにあてるという、新たな居場所づくりに取り組んでいます。
府中の事例紹介(5) シェアハウス「たまりば!」/ Co-study space「Posse」
まずはシェアハウス「たまりば!」の成功例から。その活動の流れと現状を、コミュニティやサードプレイスの用語解説も交えながら、詳しく紹介してもらいました。
関谷さんは大学に入学後、高校時代に通っていたような居場所があればと考え、一軒家の2階を借り、Facebookで知り合った学生同士でシェアして住み始めました。
住居でありながら、誰もがふらっと立ち寄れる、開かれた居場所づくりは、大きなトラブルもなく、順調に展開されていったそうです。「たまりば!」は、4年間で800名ほどの人が訪れ、緩やかなつながりが生まれたり広がったりする、ユニークなコミュニティへと成長を遂げました。
その経験から、次は中高生向けの新しい居場所の形を提案し、設立に向けて府中市内で準備中です。それが、自宅や塾以外でサードスペースとなる学習場所を学生に提供するという、Co-study space「Posse」。空き家スペースを自分たちでリノベーションし、資金集めにクラウドファンディングを利用するなど、現代的なツールも駆使し、若い世代に向けた活動となっていることが特徴です。
受講生のアンケートから
「シェアハウス、楽しそうな場ですね。なにか文化が生まれそう」
「論理的にコミュニティの定義などを知ることができて良かったです」
元祖『こども食堂』に学ぶ 地域を元気にする取り組み
「気まぐれ八百屋だんだん」を主宰する近藤さんは、歯科衛生士という本業を続けながら、見過ごされがちな地域のニーズに寄り添い、いろいろな人が活躍できる場としてのコミュニティカフェを展開されています。
顔の見える距離で身近な人たちの幸せを考えながら、途中1度のリフォームをはさみ、地に足のついた息の長い活動は12年目を迎えました。
2年前には法人化して、一般社団法人を設立したとのこと。けれども、スタート時から事業化や組織化を意図していたわけではなく、何か「歯と健康と食」をつなげる活動をしてみたい、との思いから始まったそうです。
土のついた野菜で汚れても大丈夫なように、元は酒屋だった空き店舗を借りて、八百屋として野菜を売っていく中で、買い物に来るお年寄りや子連れの母親たちの悩みに耳を傾け、居場所づくりへの意識が高まったといいます。次第に、地域との関わりも深まっていきました。
「ワンコイン寺子屋」と「こども食堂」への展開
近藤さん自身が子育て中の母親であったこともあり、高額な塾通いではなく、より気軽に、日常的な子供の学習をサポートしてくれる場が欲しいと考え、「ワンコイン寺子屋」という取り組みを始めたそうです。
やがて、ボランティアで教えてくれる大学生・社会人たちとつながり、「みちくさ寺子屋」が誕生しました。子供が毎日「宿題だけ」をするための場。そこへ、子供たちのおやつに八百屋のミカンを差し入れるうち、学童保育のような雰囲気に発展していきました。
そして、現在は全国的に知名度の上がった「こども食堂」ですが、発端は2010年の夏休みだったそうです。八百屋で出会った小学校の校長先生から聞いた、ある母子の「食」にまつわる事情が、近藤さんの背中を押し、「こども食堂」のアイデアの原型となりました。
こどもが、自分ひとりで入っても怪しまれず、大丈夫な食堂。近所のこどもを「うちの食卓」に呼んで食べさせてあげるような気持ちで、何かできたらと考え続けた末に始まった活動でした。
実際の講義では、初期の活動の実情や、食材の調達から子供向けの料金設定についても、「ワンコイン」にこだわった動機などの詳しい解説がありました。また、10年以上に渡り、地域の幅広い世代とイベントや企画を続ける中で、保護者や教育関係者との緊密な連携や、メディアや行政との関わり方が発展してきた経緯なども。近藤さんの率直な思いが伝わる、密度の濃い談話でした。
受講生のアンケートから
「多くの取り組みが参考になりました。深い思いと苦心されている話を聞けて、良かったです」
「まずは『目の前の困っている人から』という言葉に、ハッとさせられました。『本当に困っている人に寄り添う支援になっているのか?』という視点が必要だと思いました」