ヤングケアラーを知ろう!開催レポート
17人に1人がヤングケアラーと言われており、年相応の生活が難しいといった問題を抱えながら、その苦労が表面化しにくい現状がある。ヤングケアラーへの理解を深めるきっかけを提供し、私たちにできることを考える、そして当事者や支援者どうしがつながるきっかけになることを目的とし、3月2日(土)バルトホールでのフォーラム等をケアラーワークス、府中市との共催で開催した。
府中市で初めてのヤングケアラー実態調査報告
2023年7月~11月、小学5,6年生と中学2年生、高校2年生、教員、関係部署や機関、子ども・若者支援民間団体を対象に、ケアラーワークスが実態調査を実施した。回答率は小・中学生で約60~70%、高校性10%、教員56%、関係部署や機関約25%、子ども・若者支援民間団体26%の結果だった。
家庭の中で家事や家族の世話をしている子どもが一定数いること。ヤングケアラーの概念の周知や理解が十分でない現状などが報告され、周囲の人が気づき、子どもへの声かけや配慮が大切であることが、ケアラーワークス代表理事の田中悠美子さんから報告された。
全てのケアラーに光を フォーラム
18歳から10年間、母親を介護してきたフリ―アナウンサーの町亞聖さんから、ヤングケアラーが抱える課題やヤングケアラー支援に必要なもの、地域の大人や専門職が行うべき支援や意識についてお話を聞いた。
ヤングケアラーが抱える課題は、自身をヤングケアラーと気づいていないこと、自分でやるしかないと思っていること、学校・同級生には相談もできず、自力では負の連鎖から抜け出せないでいること。ヤングケアラーに必要な支援は、「弱音や本音が吐き出せる場所や人」「置かれた環境をプラスにする思考」「将来を描けるような選択肢を示すこと」「子どもだけでなく親や家族への支援が必要」であり、重要なのは、自立のための支援であるとのお話。
そして、ヤングケアラーに関わる専門職は、地域包括ケアシステムの多職種連携で重層的支援体制を整えることが求められており、またケアラー自身も受援力を高めることが必要と話されていた。「同情ではなく共感してほしい」「出来ないことではなく出来ることを数える」ことも大切とのお話もあった。
子どもたちが、子どもらしく生きるために大切なこと トークセッション
2名の元ヤングケアラー当事者が登壇し、「子どもたちが、子どもらしく生きるために大切なこと」のテーマでトークを行った。
当時の介護について「12歳から母の介護を始め、わがままが言えず甘えたい時に甘えられなかった。子どもらしくいられないと感じていた。」と。またもう一人は「スーパーケアマネさんに出会い、話しを聞いてもらっていた。」と、悩みを打ち明ける人がいたという話し。
悩みを聞いてくれる人がいたり、ケアラーに必要な情報を届けることで、選択肢が増え支援となっていく。必要なタイミングで必要な支援が必要であるとのこと。
また、
「ケアをすることは、人の人生を背負うこと。ケアの重さに寄り添うサポートがあると良かった」という話しと「子どもが子どもらしくいられるために、その子らしく歩んでいけるよう支援することが支援の本質である。」と語られた。
地域住民全員がソーシャルワーカーになれるし、困りごとを抱えている家族の支援も必要と町さんは最後に話された
「けあバナ」トークライブ
フォーラムに先立ち、東京都のヤングケアラー向けのLINE相談「けあバナ」の相談員4名とケアラーワークス代表理事の田中さんによる「けあバナ」トークライブが行われた。
元気づけているつもりで実はとても心が傷つく声かけについてトークが展開された。「強く生きなさい」「まだまだ若いんだから」「ご家族も大変ですね」などの言葉は、「自分でやりなさい!」という言葉に聞こえ寄り添っていない言葉でしかなく、こんなに頑張っているのにもっと頑張らないといけないの?いつまでこの状況が続くのか?と思ってしまうとのこと。何を言うかより、誰が言うかで受けとめ方は違うなどが語られた。相談員は、まず寄り添って考えてほしい、と話された。
アンケート回答より
「ヤングケアラー自身への理解を深められた」、ヤングケアラーの背景としての「家庭・家族状況等に対しても理解が深まった」旨の感想が寄せられた。また、「地域の人間としてどう寄り添っていけるのか考えていきたいと思いました。」「当事者への声かけや、当事者を見つけるポイント、寄り添い方などヒントをいただけた。」等、ヤングケアラーへの寄り添いや働きかけにつながるような回答も多く見られた。