【市民活動専門講座(1)】「そして、今ココ! 〜実践例から見えてくる団体のつくり方・育ち方〜」開催レポート
今年3月まで府中市市民活動センタープラッツの館長を務めていたNPO法人エンツリー理事長の吉田恭子さんから団体の立ち上げから今日に至るまでの運営や活動についてお話をしていただきました。話しの中からヒントをいただきつつ、それぞれの団体の課題や悩みをその場で共有し、あらためて考えました。
NPO法人エンツリーの立ち上げから今日までの歩み
14年前、初めての市民活動スタート応援事業として作成した市民活動スタートのためのガイドブック
男女共同参画センターでの女性のキャリアアップ養成講座に参加し、以下のポイントを学んだことが団体を立ち上げるきっかけとなりました。
- 出会った仲間でネットワークづくり
- 学んだら即実行
- 一歩先行く人たちの話を聞こう
「連絡手段の確保」、「おしゃべりする時間」、「場所の確保、活動について相談できるところ」の条件が揃ったことや、男女共同参画センターの存在が活動の大きな後押しになりました。
エンツリーの名称について
縁がつながって枝葉をつけて木となって広がっていくことを目指してつけた名前です。
活動資金について
継続的に活動するためには早めに財源を確保することが大事だと思い、ある程度はお金になることをしないといけないのでは?とメンバーで話し合いました。
メンバーは、市民団体代表・産業カウンセラー・キャリアカウンセラー・キャリアコンサルタント・デザイナー・子ども劇場メンバー・ケアマネージャー・ファイナンシャルプランナー ・ネットショップ経営等、キャリアも資格もそれぞればらばらでしたが、各自の得居分野を生かして、講座づくりのデータベースが作れることに気づきました。
そのデータベースを生かして、受講した人が一歩を踏み出せるような「自分たちが創りたい講座を作ろう」とやることが決まり、八王子市市民企画事業補助金の助成金を使って自分たちが欲しい情報を盛り込んだ冊子を作ることができました。
出来上がった冊子は公共施設のほか、市内の書店でも販売をしました。
組織はどうする?
任意団体・無償ボランティアにはしたくないという意見があり、NPOか会社かを検討することになりました。
先輩である多摩地域の15団体を回って話を聞き、NPO法人としての活動に興味を抱くようになった矢先、文科省の事業の募集があり、採択するにはNPO法人であることが条件だったこともあり、NPO法人を設立することになりました。
5. 拠点&団体の目的
八王子市から「親子つどいの広場」受託団体の募集があり、ママが元気になると子どもが元気になる「ママの笑顔は子どもの笑顔」をコンセプトに提案したところ、多摩ニュータウンという育児が孤立しやすい地域だったこともあり、受託が決まりました。拠点の確保とこの段階での活動の目的を確定することができました。
中間支援の醍醐味
ママの支援だけではなくパパのグループ「カシュPAPA」、「地域の人の多世代交流からの町の活性化」、「お祭り主催」、「地域での子育て」へと支援の活動を広げていきました。その後、昭和記念公園にて、『学びの先へ』という多摩地域で活躍する女性グループを一同に集めたイベントを開催し、これまでなかったグループ同士のネットワークが生まれ、中間支援の醍醐味を知ることとなりました。
人、街、学びをつなぐコンシェルジェ
活動を重ねる中で、みんなが使える施設をつくりたいという声が出て、「コミュニティスペースCUORE・堀之内」の運営を開始し、パパたちも関わって、「楽しも!堀之内実行委員会」を立ち上げ、コミュニティ番組「GAYA.TV(ニコニコ動画、YouTube)」で、街の話題や人にスポットを当てた動画を、月1回配信するようになりました。
「人、街、学びをつなぐコンシェルジェ」NPO法人エンツリーということで活動の多角化を図ってきました。
府中市市民活動センタープラッツ
2016年、府中市市民活動センタープラッツ運営のお話をいただき、現在JVを組んでいる府中文化振興財団さんと打ち合わせをする中で、府中には、文化的、生涯学習的な団体がたくさんあることを知りました。その方々が、自分たちの持っているスキルを市民活動に生かせたら面白いことになるのではないかという思いが強くなりました。
スタッフは多様な年代、前職での経験豊富な人材がバランスよく集まり、市民活動の潜在層、無関心層を掘り起こすことを第一目標に、グループ作りなど講座のアフターフォロー、子育て世代をセンターに呼び込む仕掛けづくり、高齢者を置き去りにしないサポートを目指し、指定管理をスタートしました。
そして、5年経ち、次の世代に任せることになりました。
事業の分社化
府中ではNPO法人としてエンツリーの目的を継承し、先進的なIT活用と草の根支援の両立。八王子では、一般社団法人エンツリーとして、親子つどいの広場CacheCache(カシュカシュ)の運営を中心に、ママ達が元気になる事業の展開を行うことになりました。
グループに分かれ、それぞれの団体が抱えている課題や、課題解決のためにどうすればよいか、というワークを行い活発な意見出しが行われました。
グループワーク
それぞれのグループからは、自主財源、ビジョン・ミッション・ゴールをどのように設定するか、事業を行った時の総括、人材確保、次世代へのバトンタッチ、市民活動はさざ波のようで、次の波が来れば次の波に任せるのも大事、同じ団体でも実際に活動に関わるのは数名となってしまっている、コロナ禍で活動が止まってしまった後、どのように復帰できるか、助成金の活用についてもっと情報を知りたい、人と人との分断について課題を感じている。居場所づくりを通してコミュニティを広げるためにどのような活動が必要か、などについてご意見が出ました。
是非プラッツへお越しください
短い時間でしたが、14年間のエンツリー設立から今日までの話、団体から出た課題に対する回答をしていただきました。
参加者からは以下のような感想をいただきました。
・活動を始めてみたいと思っています。活動の始め方を考えすぎるのではなく、まず動いてみようと思えました。
・支援する立場、団体の立場、どちらも具体的なお話が伺えてよかったです。
・エンツリーの成り立ちやプラッツの初期の話を伺えたことが学びになりました。
・客観的に学ぶことが多かった。高い意識を持って活動をしていらっしゃる方にも感銘を受けました。
・課題・問題点はいくつもあるが、考える、手をつける優先順位が少しわかってきました。
最後に講師より、「団体の方々、プラッツの受付にいらして、助成金のこと、団体運営についてなど、どんなことでも相談をして、プラッツを使い倒してもらいたいと思っています。」というメッセージがありました。