入門講座「府中トコロジスト養成講座」イベントレポート(2)
箱田淳只さんを講師に迎え、自然観察による地域とのつながりづくりや場所の専門家になるための「トコロジスト目線」を学ぶ全5回講座。
2回目となる今回は会議室を出て、フィールドワークの実践がはじまります。
※大國魂神社には事前に許可を取り活動しました。
「地図をつかいこなそう」フィールドワーク実践 ~大國魂神社を歩く
実践前のオリエンテーション
今回フィールドワークを行うのは、多くの府中市民にとって馴染みの場所・大國魂神社。
はじめにプラッツ会議室にて、箱田さんより大國魂神社を歩くときのポイントについて講義がありました。
普段は何気なく通る場所で新たな発見をするには、いつも違うと視点を持つことが必要です。その視点を変えるヒントとしての3点を箱田さんから教わります。
- 他者の視点で見る
- 角度を変えてみる
- 色々なテーマに沿って見る
その他、観察にあたってのコツや周囲の通行人への配慮など、フィールドワークの心構えについても説明がありました。
最後に現地でのスケジュールとグループ内での分担を確認して、いよいよ大國魂神社へ出発です。
現地に到着、まずはお手本を体験
現地に着いて最初に行われたのは、箱田さんによる観察のデモンストレーション。まずは「トコロジスト目線」を全員で体験します。
そこでは大國魂神社を観察する視点として、次のような例が紹介されました。
- :神社そのもの …鳥居の造り、意味合い、どうやって立てられか?
- :神社の生き物 …ハト、カラスの生態や種類
- :神社の彫刻 …狛犬や手水舎などの彫刻の意味
「どれだけ細かい情報に気づけるかが大事」と話す箱田さん。その自然観察における豊富な知識に深くうなずきながら、一同は神社の敷地内をゆっくりと移動していきます。
トコロジストの視点で歩く
しばらくは箱田さんのガイドに従って集団行動をしていた受講生のみなさんでしたが、場や状況に慣れてくるにつれて、各自で気になるものにカメラや双眼鏡を向けるように。発見したものを他の人と共有し合ったり、知っていることをお互いに教えあったりしていました。
観察のしかたも人それぞれです。広い視野で大きく観察する人。顔を寄せてじっとフォーカスする人。落ちている木の実を手にとったり、木肌に触れて質感をたしかめたり、一人一人違う視点で大國魂神社から情報を受けとっていきます。
終了時間になる頃には、周囲の参拝客とは明らかに雰囲気の違う、すっかり“観察の世界”に入り込んでいる受講生の姿がありました。
大國魂神社のトコロジストに
フィールドワーク後には会議室に戻り、見つけたものを発表しました。各自が撮ってきた写真をスクリーンに映しながら撮影者がコメントします。
映し出された写真は、石碑や安産祈願の柄杓、捻じれた木の根、樹皮、どんぐり……と実にさまざま。それぞれに発見した情報を共有することで、また新たに“他者の視点”を借りた発見が生まれます。
参加者からは
- 普段お参りに来ても一切見ていなかったものに興味をもった
- 子供の頃に楽しんだ自然の遊びを思い出した
- 石碑や常夜灯に心惹かれ、じっくり見ていると歴史の深さを感じることができた
…といった感想が挙がりました。
「疑問・不思議に思ったことをインターネットなどで調べたり、その場所に回数を重ねて通ったりしてみる。そうするとまるで薄皮をめくるように次々と情報をひろえるようになって、“大國魂神社のトコロジスト”になっていく、ということですね」という箱田さんの総括があり、第2回の講座は終了しました。
次回の予定
第3回となる次回のテーマは「観察記録術」。1週間後の2月5日(土)に開催です。
今回歩いた大國魂神社を、次は外側から歩いて見てみます。
2度目の場所で、別の角度で、今度は一体どんな発見が待っているのでしょうか。
(市民ライター 伊藤薫)