プラッツ情報紙kokoiko第27号2024.1.1
生活や仕事に追われた時期が一区切りついたとき、
目の前に現れるのは、新しい可能性への扉。
無我夢中で走った日々。そこで身につけたことを、
今までとは少しかたちを変えて活かすことはできるでしょうか。
うまくできたことも、後悔していることも、
経験したすべてが宝物。
その宝物を「誰かを輝かせる」ために使うことができる、
そんなときが今、訪れたのかもしれません。
「今まで」の 自分がつくる 新しい「これから」
「延長線上」ではない自分へ
府中市在住の仲田耕太郎さんは、定年を迎えて長年携わってきた仕事に区切りをつけ、現在はプラッツ登録団体「NPO法人手のひら健康バレー協会」のメンバーとして活躍しています。社会人時代の経験や人との出会いを通して耕太郎さんが思い、選び、そして行動した「助走とリスタート」のお話をうかがいました。
学びから生まれた思い
仲田耕太郎さん NPO法人「手のひら健康バレー協会」メンバー
52歳のとき、勤めてきた旅行会社のグループ内別会社に転籍をしました。そのとき知人から「耕太郎さん、時間ができるなら何か勉強した方がいいですよ」と言われたのがきっかけで、会社勤めをしながら大学院に行くことを考えたんです。はじめは仕事に関連する観光や異文化について学ぼうと色々調べていたのですが、ある説明会で出会った「キャリアデザイン」という分野に興味をもち、2年間勉強しました。
「これからの人生をどう設計していくか」といった学びの中ではさまざまな人の生き方に触れる機会があり、自分もそれまでの人生を振り返ったり「これから府中で何かできないか」と考えるようになりました。そのヒントを探すような気持ちで参加したのが、プラッツ主催の「協働推進コーディネーター養成講座つなぎすと府中」です。市民の中から地域のコーディネーターを養成しようというその講座では、実際に地域で活躍されている方や、受講生仲間との出会いがありました。
次のステップへ向けて動き出したみなさんの「府中の中で何かをやりたい」という思いに共感したり、自身の経験を活かして活動する地域の先輩の生き方にも感銘を受け、とても良い刺激をもらいましたね。
「場」が「居場所」になるとき
養成講座を修了したあと、コーディネーターとしてより実践的な力を身につけるため、プラッツ登録団体に入って実際の活動の仕方を学ぶプログラムに参加しました。行先の団体を決めるにあたってはプラッツの職員さんと面談をして、自分に合いそうな団体とのマッチングをしてもらったのですが、そこでご紹介いただいたのが現在参加している「手のひら健康バレー」でした。新しい場所で何かを始めるときには、そこの仲間にもなって、自分の居場所と出番をつくって取り組む、ということがきっと必要になります。私はそういう「場」を求めていましたし、プラッツでは講座や面談を通して「私」という人間を見ていただいて、それをサポートしてもらえたことはすごく有難かったですね。
団体の一員になって直に感じた手のひら健康バレーのコンセプトや目指しているものに惹かれ、代表の牧野さんの人柄への信頼もあって、プログラム終了後も正式なメンバーになろうと決めました。今後は競技のことや活動をもっと広く知ってもらえるようなお手伝いがしたいと思っています。
新たな場所で、新たな「続き」と出会う
定年後の方向性として、今までの仕事の延長線上で知識・経験を活かして働くという選択肢も当然あります。でも私の場合は、それだと自分の持っている力や意欲がどんどん小さくなっていくような感じがして……。大学院での学びにも影響を受け、「60歳からは会社を出て、別の方向へ進もう」とは以前から思っていました。それをさらに後押しすることになったのが、コロナ禍の経験です。自分が社会人としてずっと携わってきた旅行業に対する「人の移動=悪いもの」という風潮を目の当たりにしたとき、「自分たちのやってきた仕事って、今までの人生って、一体何だったんだろう」という問いが生まれてきて。そこで「だったら、仕事の知識やスキルを違う形で役立てたい」という思いがより一層固まりました。もちろん落ち込むような経験ではありましたが、そういう気持ちにさせてもらったのはコロナ禍のおかげ、と今は思えますね。
自分がこれまでやってきたことに無駄なんてない。別の場所で違う形になって、思いがけない化学反応を起こすかもしれないですよね。自分の中に培ってきた知識やスキルを一度分解して組み換えて、それを違う場所で活かす経験をもっとたくさんしてみたい。場所が変わると空気感も変わるし、人も変わるし、ものの見方だって変わってきます。そこで待っているのは新たな自分と、新たな出会い。「今までの延長線じゃない自分を考えてみる。そこに拠点を移してみる」という視点によって、新たな化学反応、新しい自分が生まれる可能性があるんじゃないかなと思いました。
今年の8月末で定年を迎えてから、持っていた教員免許を活かして府中の高校で公共の授業を教えることになったり、学生時代からやっている合気道の会に関わったりもしています。
若い人たちに次のバトンを渡せるようなチャンスがあれば伝えていきたいし、府中市の中でも何かお手伝いできることがあれば携わっていきたいですね。
こんな話がどこかで誰かにとって、何か考えるきっかけになってもらえたら嬉しいですね。ともかく長い人生なんですから。
取材・文:伊藤薫(市民ライター)
仲田さんが入ったことで会に変化が・・・
11月4日、青空が広がる秋の一日、府中市郷土の森体育館で、「都民スポレクふれあい大会手のひら健康バレー」が開催されました。「オカリナシスターズ府中梅娘」さんのオカリナ演奏が楽しい雰囲気を一層盛り上げ、各地で活動している団体の皆さんが笑顔で競技を進める中、仲田さんがメンバーになったことで会にどのような変化があったか、代表の牧野正雄さんにお話を伺いました。
「過去に行っていた手のひら健康バレーのイベントでは、「受付」、「記録」、「指導」という3つの役割分担を決めて準備をしていましたが、自分の役割が終了したら何もしなくてよい時間ができてしまうため、現在では特に役割を決めることなく、フリーで動いていただいています。フリーにすることで、今自分は何をするべきなのか、どこの箇所で手が足りていないのか、その都度、判断しながら動くことになり、年齢や障害に関わらず、自分の意志で動くことでやりがいにつながっていると実感しています。
その中でも、仲田さんは上手にコミュニケーションを取りながら、その場の空気をいち早く感じ取り、今何が必要か、今自分は何をすべきなのか、全体を俯瞰しながら動いてくださっています。今年の10月に、1000人以上の体験者を迎えるイベントがありましたが、仲田さんがいなかったら回すことはできなかったと思います。
仲田さんは、何より笑顔が素晴らしいです。会員の皆さんからの信頼も厚く、私の後継者として今後も活躍していただきたい人材です」
NPO法人手のひら健康バレー協会
障害のある人もない人も子供から高齢者まで、だれもが一緒に、日常的にスポーツを楽しめる環境づくりに寄与するため活動している「手のひら健康バレー協会」。
近年では、視覚障害の方でもスポーツを楽しめる「手のひらターゲット」を発案し、体験会を開催しています。行政や学校などからも依頼があり、健康寿命の促進と共にますます需要が高まっています。
取材・文:榊啓子(府中市市民活動センタープラッツ)
参加者募集!2024年1月開催 市民活動入門講座 「今こそ考えたい、定年、卒育、その先の人生」
自分の時間を楽しめるようになってきたけど、何をしようか悩んでいる方、大歓迎!
府中の暮らしをもっと充実させるアイディアや、まちに新しい仲間を作るチャンスを探している方に、おすすめの講座です。
すでに活動されている方々から活動デビューまでのお話しを伺い、新しい「これから」を探っていきます。
仲田耕太郎さんもゲストとして体験談をお話されます!
日 時:2024年1月20日(土)・2月3日(土)14:00~16:30 全2回
会 場:プラッツ 第5会議室 参加費:500円 定 員:12名
お申し込みはこちらから:https://bit.ly/3Mx5aBL
紙がつなぐ人と人〜紙の持つ力を信じてー紙とデザインのお店kamitowaー
「大量生産大量消費の時代だからこそ、作り手の思いが伝わるものづくりを大切にしたい」。そう話すのは、捨てられる紙の廃材を活かしたワークショップなどを行う「紙塾」を主宰する吉永久美子さん。
自らの思いを込めつつ、会社と仲間の力を借りながら、紙にまつわる製品のストーリーを伝える場として「kamitowa」は生まれました。
「紙には人と人をつなげる力がある」という吉永さん。「手紙や本などのように、紙には誰かにメッセージを伝える役割がありますよね。 折り紙や色紙、たった一枚の紙から想像力も育まれます。いまはまだ身近な存在だけれど、デジタル化が進むこれからは、貴重なものになっていくのかなと感じています。紙の可能性を探りながら、紙の持つ力を信じて、その良さを伝えていきたいと思っています」。
古民家の趣を活かした店内には、kamitowaだからこそ出会えるこだわりの詰まった製品が並びます。今号のプレゼントとしてご提供いただいたメモパッドもそのひとつ。台紙にはしっかりした強度があり不安定な状態でも書きやすく、メモ部分に使われている紙「OKハルクリーム」はどんな筆記具でも滑らかな書き心地です。端にはきめ細かなマイクロミシン目が使われ、驚くほど綺麗にスッと切り離すことができます。どの色のクロスになるかは届いてからのお楽しみ。
kamitowa
東京都府中市片町3-14-3
火土日祝13時~18時営業
最新情報はこちら→
kokoiko27号アンケート&プレゼント
kokoiko27号のご感想、今後取り上げてほしいテーマについてアンケートにお答えください。
ご回答いただいた方の中から抽選で3名様に、「kamitowaオリジナルメモパッド」をプレゼントいたします。
応募方法
二次元コード、アンケートフォーム(https://bit.ly/35CQkr7)からのご応募、または官製ハガキに感想をお書き添えのうえ、下記宛先までお送りください。
〒183-0023
東京都府中市宮町1-100ル・シーニュ5階
府中市市民活動センター プラッツ kokoiko係
応募締切:2024年1月31日
※当選の発表は商品の発送をもって代えさせていただきます。
kokoiko26号(グリーフケア)にお寄せいただいた「読者の声」を抜粋してご紹介します。
喪失に向き合う、という大事なことに気づくきっかけになりました。グリーフケアに関する活動に、今後取り組みたいと思います。
【編集部より】
人生において良い時も辛い時も安心して暮らせる、そんなまちをつくっていけるといいですよね。無理せずできることから、活動を始めていただければと思います!
人生において良い時も辛い時も安心して暮らせる、そんなまちをつくっていけるといいですよね。無理せずできることから、活動を始めていただければと思います!
【編集部より】
地域で支え合う場があることで、自分自身をケアする力が生まれてくるのかもしれません。今後のkokoikoでも、身近なテーマを取り上げてまいります。またぜひ感想をお寄せください!
団体登録しませんか?
プラッツに市民活動団体登録をすると、団体活動スペースの予約利用や印刷室、各種貸出機材の活用、さらにWebやSNS等での情報発信、各種イベントへの出展など、活動を広げるチャンスがたくさんあります。
府中を拠点に、誰もが住みやすい地域や社会のために団体活動を展開している皆さまのご登録、お待ちしています。
プラnet | 府中市市民活動ポータル (fuchu-planet.jp)
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