プラッツ情報紙kokoiko第31号2025.1.1
自分の中に響く音に耳を澄ませて、こころを解き放つとき、
からだがどう動くのかは人それぞれ。
じっとしていなきゃいけないよとか、
みんなにあわせて動かなきゃいけないよとか、
そんなルールのない音楽会があったら素敵だな。
この想いに共感するメンバーが集まって「おとの木」は芽を出しました。
力をあわせて育てるうちに、小さな芽は木となり、
「おとの木おんがくかい」という実がなりました。
一音から広がる 共感のハーモニー
2024年11月4日開催の「おとの木おんがくかい」にて。 おとの木メンバーと演者のみなさん。
こころで音楽を感じたとき、
からだはどんなふうに動くでしょう?
自然にリズムを取ったり、一緒に歌ったり、
じっと静かに聴き入ったり。
自分の中に響く音に耳を澄ませて、こころを解き放つとき、
からだがどう動くのかは人それぞれ。
じっとしていなきゃいけないよとか、
みんなにあわせて動かなきゃいけないよとか、
そんなルールのない音楽会があったら素敵だな。
この想いに共感するメンバーが集まって「おとの木」は芽を出しました。
力をあわせて育てるうちに、小さな芽は木となり、
「おとの木おんがくかい」という実がなりました。
メンバーの持ち寄る一音ずつがメロディーとなり、
演者や協賛する人たち、参加者の想いが加わってつくりだすハーモニー。
耳を傾ければほら、あたたかい音楽が聴こえてきます。
分け隔てない社会への願いを、音楽会から
はじまりの思いと共感の輪
音楽が大好きなのに、障がいや特性のために「音楽会やコンサートの場では周りの人が気になり行きづらい」「静かに座って音楽を聴くのは難しいから遠慮してしまう」。そんな当事者の声を知り、「演奏中に声を出しても、動き回っても、一緒に踊ってもいい、自由に楽しめる音楽会があったらいいのに」という思いから「おとの木」は生まれました。その思いに共感し集まったのは、自分の得意分野で子育て支援の活動をしていた有志。それぞれの活動で培った行動力と発想力を結集して「いつかできたらいいね」をあっという間に実現可能な計画に変え、発足の4カ月後には初めてのクリスマスコンサート開催を叶えました。参加者からは「今までコンサートのようなものに行ったことがなかった」「親子でとても楽しめた」「毎月やってほしい!」といった反響があり、音楽会というアプローチで障がいや特性のあるお子さんも芸術体験ができる場をつくる意義を実感。「草の根育成助成事業」に採択されたことや、活動の趣旨に賛同した企業や個人からの協賛にも後押しされ、2024年9月に2年目の活動に入りました。
知識と経験を持ち寄って安心をつくる
おとの木のメンバーは保育士、幼稚園教諭、看護師、栄養士、理学療法士、社会福祉士といった有資格者や、児童発達支援施設職員、放課後等デイサービス職員、子育てひろば職員、医療的ケア児のための洋服リメイク作家など、子育て支援に深く関わってきた方々。さまざまな分野で専門家として実際に子どもたちと接しているからこそ、音楽会開催にあたって気をつけるべきポイントや安全のために必要な配慮についてしっかりとすり合わせができ、共通理解もスムーズだったといいます。
「障がいがあってもみんなと一緒に楽しむという音楽会の趣旨が自分の気持ちと合うと思った」「音楽会を通して障がいや特性のあるお子さんと接するための学びを得たい」「府中に移り住んで大病を乗り越えられた。大好きな仲間と一緒に、府中市に恩返しがしたい」「音楽関係の経験を活かし、特性のあるお子さんとご家族に安心して楽しんでもらえる音楽会を府中にも!」メンバーのみなさんはそれぞれの思いと情熱をかさねて、活動に取り組んでいます。
「参加対象を限定すること」に込めた思い
主催した「おとの木おんがくかい」では、事前に参加対象について「心身に障がいまたは特性のある小学生までのお子さまとそのご家族」と明確な告知を行いました。「はじめは“みんな誰でも”というつもりでした。もちろんそれが理想だけれど、普段はいろいろなことを気にしてなかなか音楽会に行けないというお子さんたちに出て来てもらうことがまずは一番大事。そういうご家族が安心して参加できるほうにまずは目を向けたいと思ったんです」。
安心して「また行こうね!」と思ってもらうこと、対象をひろげるよりも共感者を増やしていくことをまずは優先したいと考えて決めた、あえての“限定”。メンバーの中には「“みんなが一緒に参加できる”場をつくる方がいいのでは」といった意見もあり、お互いの考えを率直にぶつけて議論するなど団体としての葛藤もありました。「みんなでできるようなコンサートというのが理想だし、それを目指していきたいという思いはあります。でも今はまだそれをする土壌ができていないから、私たちはそこから作っていこう。まずは“安心して参加してもらうために”をしっかり形にしようね、という方向性で、対象を定めることを話し合いました。」メンバーそれぞれが真摯に活動に向き合っているからこそ生まれた課題。「意思の疎通が必要なところだったと思うし、その後の活動のためにも意義のある話し合いでした」。
この手が届くところから
「楽しみにしている方がいるなら、これからも応えていきたい」「より多くのお子さんに音楽会を楽しんでもらいたい」そのためにおとの木のみなさんが大事だと考えているのは、はじまったこの活動を続けていくこと。そして、いつか参加した人の中から主催側に関わる人が現れたり、何か他の活動につながったりと、音楽会に限らずいろいろな活動の輪がひろがるような場になってほしいと願っています。
「自分が自分らしくていいんだよ」と心から堂々と言える世の中になってほしい。だけど変わるのを待っているだけじゃダメだから、みんなが何かひとつでも動いてみよう。おとの木の元に集まったみなさんは、そんな思いでご自身の手の届くところから活動を始めた方々です。
「自分に届いた声のために、こんなことができたらいいな」。やさしい想像の種から生まれたおとの木は、メンバーの気づきと思いに育てられ、2度目の「おとの木おんがくかい」という実を結びました。
取材・文:伊藤 薫(市民ライター)
おとの木
団体HP https://otonoki-fuchu.com/
府中市で子育て支援に携わる有志が集まり、「誰でも気軽に不安なく参加できる音楽会」を目指して活動する任意団体。障がいや特性のある子どもやその家族が安心して参加できる音楽会開催のための企画・運営を行う。
こころのままに楽しめる音楽会〜「おとの木おんがくかい」レポート〜
秋晴れの祝日、「おとの木おんがくかい」に参加してきました。「あれ?耳を澄ませてみて!何か音が聴こえてくるよ」ステージの司会者の声に、それまでざわざわしていた会場はピタッと静かになりました。客席の左右からピアニカを鳴らして演奏者が登場。子どもたちは楽しげな音楽に釘付けです。それからは、ただ座って音楽を聴くのではなく、くすくす笑って手を動かしたり、からだを揺らしてみたり、家族でくすぐり合ったりと、音と一緒に楽しむことに大忙し。他にも口笛を吹いてみたり、鈴を鳴らしたり、シャボン玉を捕まえたり、マーチに合わせて会場を歩いたり。子どもたちが全身で音楽を楽しむ様子が伝わってきて、見ている私もうれしくなりました。
音楽会に参加する子どもたちが守らなければならない約束は「舞台の上に上がったり、演奏者の持ち物は触らない」ことだけ。それ以外は、客席の間を自由に歩き回ったり、声を出しても大丈夫。
舞台前や客席、階段、出入り口など多くのスタッフがいるので、家族も安心して子どもを見守り、一緒に音楽会を楽しんでいました。
プログラムは第一部約20分、休憩10分、第二部約30分、1曲あたり3分程度と、子どもの集中力が途切れない構成になっていて、楽器による演奏だけではなく、さまざまな小道具を使って「見る」「聴く」「触れる」といった五感が刺激される演出が散りばめられていました。頭の上に大きな布を通すなど客席での演出も多く、車椅子の子どもやからだを動かすことが好きな子どもも喜んで参加していました。
細やかに工夫された演出や配慮の行き届いた会場の温かい雰囲気のおかげで、大人の私も思わず一緒に踊りたくなるほど楽しく、「子どもと家族が一緒になって、こころから音楽を楽しめる音楽会」だなと感じられました。音楽はこころとからだをのびのびリラックスさせ、こころの垣根を外す力があると思いました。
取材・文:亀谷 のりこ(市民ライター)
会場で配られた、手作りのクラフトバンドの鈴。
みんなが鳴らす鈴の音が、ひとつの音楽になっていきます。
助成金の申請書を書いてみよう!
市民団体を運営していると、どうしても必要となる“活動費”。そんな市民活動を資金面で応援してくれるのが助成金です。でも、助成金の申請は書類を書くのが難しいイメージがあります。そこで、今回は府中市の「市民活動応援助成金エール」について、プラッツの担当者に話を聞きました。
■申請書を書くときは、どんなことに気をつけたらいいですか?
—審査員は応募した団体のことは何も知らないので、誰にでも分かるように書くことが大切です。申請書には、団体の目標、事業の目的、事業の具体的な内容や実施体制、その効果などを記入します。
締め切り前日に一人で書くなんてこともありがちですが、申請書を書くことをきっかけに、団体の目標や事業の目的を、改めてメンバーで話し合って文章にしてみることをおすすめします。
また「エール」は府中市が行う公的な助成金ですので、「大勢の市民」と表現するより「府中市民の○パーセント」と具体的な数字を示した方が、今の府中市にとって重要な事業かどうかを相対的に判断しやすくなると思います。
■具体的なアドバイスをありがとうございます。申請書を書くことをきっかけに、団体の目的などについてメンバーで話し合うのはいいことですね。
—団体の個々のメンバーは関心の度合いが違っていて、同じ目的や想いで活動していると思っていても、認識が曖昧だったり違っていたりします。でも申請書を書くと、曖昧な部分がはっきりして認識も共通になります。そうすると「私たちはこういう団体です」とメンバーが言えるようになって、今度は「いいことやってるね!こういう時なら手伝えるよ」とか「じゃあ、寄付しようかな」とか、団体の活動に共感して応援してくれる人の輪が広がったりするんですよね。
■申請書を書くことには、こんないいこともあるのですね。
最後に、残念ながら採択されなかった場合、どうしたらいいか教えてください。
—申請書を書く時に団体の目標、事業の目的や効果などを整理しておくと、外部にアピールできるようになります。他の助成金に挑戦したり、他との連携がしやすくなります。そのようなご相談もプラッツにお声がけください。
取材:駒ヶ嶺 久美(市民ライター)
資金調達で団体活動を活性化!
府中市市民活動センタープラッツ専門講座 「支援者を増やし、団体活動が豊かになるための資金調達」
詳細:https://www.fuchu-platz.jp/event/1007190.html
日時:2025年2月15日(土) 13:30~16:30
場所:プラッツ6階 第3会議室
対象:ファンドレイジング・資金調達を学びたいと思っている団体、企業、行政、学生の方
定員:先着 30名
参加費:プラッツ登録団体・SBラボ登録事業者・学生・つなぎすと府中養成講座修了生:1,000円・一般:2,000円
託児:1歳以上の未就学児、先着2名
託児費:500円/名(当日お支払い)
託児締切:2/6(木)まで
団体登録しませんか?
団体登録情報はこちらから
※詳細は市民活動ポータルサイト「プラnet」をご覧ください。
プラッツに市民活動団体登録をすると、団体活動スペースの予約利用や印刷室、各種貸出機材の活用、さらにWebやSNS等での情報発信、各種イベントへの出展など、活動を広げるチャンスがたくさんあります。
府中を拠点に、誰もが住みやすい地域や社会のために団体活動を展開している皆さまのご登録、お待ちしています。
プラnet | 府中市市民活動ポータル (fuchu-planet.jp)
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