プラッツ情報紙kokoiko第17号2021.7.1
第17号の特集は府中市の姉妹都市、長野県南佐久郡佐久穂町と府中市をオンラインで繋いだ企画「サクタビ」についてです。四季を通じて雄大な自然を味わえる佐久穂の魅力や、姉妹都市という制度ができたきっかけについても紹介します。
「姉妹都市」とは言うけれど「兄弟都市」とは言わないの?
今日のような姉妹都市提携が結ばれるようになったのは、第二次世界大戦後。ヨーロッパでは戦争で敵対した国との関係修復を主な目的として広がり、またアメリカではアイゼンハウアー大統領により「市民と市民(people-to-people)プログラム」(市民間での交流と相互理解から、世界平和を目指す)が提唱されました。ではなぜ、「姉妹」都市なのでしょうか?
……英語のもとになったラテン語で「町」は女性詞なので、アイゼンハウアー大統領が「sistercity」と呼び、日本ではそれを訳した「姉妹都市」が定着しました。国によって「兄弟都市」「双子都市」「パートナー都市」など、名称はさまざまです。
-日本国内の「姉妹」-
姉妹都市協定は海外の都市とだけではなく、国内の自治体間でも結ばれます。互いの文化や歴史、自然環境が「似ているから」の場合もあれば、海に面した都市と山に面した都市のように「持っているものが違うから」協定が結ばれることも。また災害時の相互応援協定が定められることもあります。
府中市の国内姉妹都市は、豊かな自然に包まれた長野県の佐久穂町。双方の特色を活かしたパートナーシップの、新たな取り組みをご紹介します。
姉妹都市・トリビアクイズ
Q1 1955年12月7日、日本で初めて海外との姉妹都市提携が結ばれました。
アメリカ・セントポール市と、九州の何市でしょうか?
Q2 富士山のある静岡県富士宮市と、琵琶湖のある滋賀県近江八幡市。両市も家族関係になぞらえた名称の都市提携を結んでいます。何都市と言うでしょうか?
Q3 府中市の姉妹都市・佐久穂町のイメージキャラクター「しらかばちゃん」。八千穂高原の白樺の聖地で生まれた彼女の背中には、あるマークが描かれています。どんなマークでしょうか。
答えは最後の方にあります
府中市民こそ行くべき!自然あふれる姉妹都市佐久穂町
府中市から車で2時間半の長野県南佐久郡佐久穂町。西側には八ヶ岳、東側には茂来山に挟まれ、二つの山が蓄える豊富な水によって豊かな自然が広がっています。市民であれば誰でもお得に泊まれる府中市民保養所「やちほ」もあり、春にはレンゲツツジ、夏には日本一美しい白樺の群生林、秋は山を埋め尽くす色鮮やかな紅葉、そして冬はパウダースノーを楽しめ、四季を通じて雄大な自然を満喫することができます。
佐久穂町と府中市の関係は、「市民の憩いの場」や「文化の交流」を目的として、自然あふれる旧八千穂村と姉妹都市を結んだ昭和54年から始まりました。旧八千穂村が合併して佐久穂町となった現在でも関係は続き、両市町の交流協会を中心に毎年、夏のトウモロコシ収穫体験やバスツアーなど交流事業が開催されています。また2019年に発生した東日本豪雨では町が土砂災害による甚大な被害を受けた際、府中市から発電車や対策本部への人員派遣・物資提供を行うなど、憩いの場としての機能だけでなく災害対応の相互連携でも密な関係を築いています。2018年からは、NPO法人府中アスレティックフットボールクラブ(以降、府中アスレ)とスポーツを活用した地域活性化を研究している中央大学の研究室が中心となり、佐久穂町の自然を活かしたスポーツイベントを計画してきました。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、現地イベントは延期せざるをえなくなりました。
オンラインでひとっ飛び!“サクタビ”で佐久穂町をご案内
現地イベントは延期となりましたが、準備の過程で佐久穂町を訪れ、生産者の方々と出会った企画メンバーの大学生たち。彼らはそこで「豊かな自然」や「こだわり抜かれた食材」、そして「温かい人々」に魅かれ、"コロナ禍でも町の魅力を府中の方々へ届けたい"という想いを抱いたそうです。
もともと中央大学商学部で関根正敏先生の下、スポーツを通した地域活性化について学んでいた学生たちは、府中アスレや生産者の方々、プラッツ(佐久穂町とのコーディネートを担当)、府中市、佐久穂町と協働して開催方法を検討してきました。その結果、スポーツとは全く異なる企画、自宅から佐久穂町の食・人・自然といった魅力をまるごと感じられるオンラインツアー「サクタビ~さくっと、佐久穂まるわかり!~」のアイデアに辿り着きました。この企画は、佐久穂町のこだわり食材をまとめた特別セットを府中の人たちに購入してもらい、購入者と佐久穂の生産者をオンラインで繋いでしまおう!という内容で、今年の1月30日に開催されました。
特別セットは、学生たちと、黒澤酒造やきたやつハム、八千穂漁業、須田農園、佐久穂町そば組合など、各生産者と直接相談し、サクタビ完全オリジナルの「こだわりグルメセット」として販売。購入した人たちは自宅で商品を味わいながらオンラインを通して生産者と直接話し、商品のこだわりポイントを教えてもらうなど交流を楽しみました。また食だけでなく、おすすめ登山コースの動画といった魅力的な情報紹介もあり、まさに佐久穂町の食・人・自然の魅力をまるっと知ることができるイベントとなりました。
現地視察で実際に訪れた佐久穂は、それはもう想像の数段上をいく素晴らしさ!という印象でした。ネット情報だけではわからない佐久穂の魅力を肌で感じて、それを自分たちが“いち佐久穂ファン”として「伝えたい!」という想いはすごく強かったですね。今回のサクタビを通して、微力ながらそれができたのではないかと思っています。
佐久穂班の理念には「持続可能な関係性の構築」という言葉があります。自分たち1期生の活動は今回で終わりますが、2期生にも引継ぎながら、今後も佐久穂に関わり続けていきたいです。こうしたイベントも1回きりではなく長期的に続いて、佐久穂と府中のパートナーシップを深めるための一助になれたらな、という想いがありますね。
info:中央大学商学部の学生による「スポーツを通じた社会課題の解決」を目指した実践志向のゼミナールです。
企画のお話をいただいて、打ち合せでは酒類の販売に免許が必要なことや別のオンラインツアー事例のお話もしました。学生さんもいろいろと調べて、自分たちなりに「どう伝えたらいいかな」という勉強をされていましたね。
あくまでも学生さん主催なので、手作り感もあり、自分たちが表に出てコーディネートする努力もされていた。他のツアーとはまた違う手法で、新鮮でよかったです。府中市と姉妹都市といっても、「佐久穂町って?」という方がほとんどだと思うので、知っていただく機会をつくってもらったのは大きいと思います。こういう企画が続いて、卒業生も後輩のイベントにどんどん飛び込んできてもらってね。それもまた楽しいかもしれませんね。
info:信州北八ケ岳山麓・千曲川上流最上流の酒蔵です。『農・酒・呑・生活(NoSakeNoLife)』をポリシーに農業と深く関わりながら、『自在な酒』を醸しております。
府中アスレとしてはSNSを使った告知などでイベント協力をしましたが、自分はもともと佐久穂町とつながりがあり、企画へのアドバイスもしていました。スポーツイベントができなくなり、期待を膨らませていた佐久穂班も当初は気持ちが下がっていたと思います。でも佐久穂町の良さを伝えるために、スポーツだけが意味のあることじゃない。
「スポーツはあくまで手段。大事なのは、外に飛び出して人と出会ってつながって、皆と一緒に何かを成し遂げたり、意見をまとめあげて結果を出したりすること」。学生たちにはそう伝えてきました。いろいろな人の協力を得ながら現地の方と出会い人間関係をつくってできた「サクタビ」で、彼らは大いに学んだはず。それでいいんじゃないかなと思っています。
info:「府中市民の誇りとなる総合型地域スポーツクラブ」を目指し活動するスポーツNPO団体です。
インタビューを終えて
企画に関わった方々の間の「もう他人ではない間柄」という雰囲気が印象的で、「同じ目標を共有して一緒に活動したあとには、こんな自然な協力関係ができるんだな」と思いました。みなさんにも、どこかの時代でそんな経験があるのではないでしょうか。
昨今、「協働」という言葉を見聞きしますが、私には正直「使い勝手は良さそうだけれど、実際に自分が関わる姿は想像しにくい言葉」という感覚がありました。でも「サクタビ」を振り返るお話の中で、気が付いたことがあります。
協働は強制されるものでも行政が関わる活動にだけ関係があるものでもなく、もっと自然にもっと以前から誰もがやってきたことの延長。もしかすると案外、身近にあるものなのかもしれません。
インタビュー記事:市民ライター 伊藤 薫
府中市協働推進課 都市交流担当より ひとこと
生産者とオンラインで触れ合うという、新たな形の交流イベントを実施していただきました。学生が自分で感じた佐久穂の魅力を伝えていただいたことで、参加者も楽しめるイベントになったと思います。学生の皆さまには今後も都市間交流に関心を持ち、佐久穂の魅力、交流する楽しみを発信していただけると嬉しく思います。
府中市協働推進課 都市交流担当
佐久穂町と府中市を結ぶ食のスポット-Cafeオレンジブーツ-
府中駅を見下ろす解放感溢れるナチュラルな装いの店内。ゆったりとしたテーブルを囲んで楽しそうに集う人々。プラッツ5階にあるCafeオレンジブーツは、「きたやつハムのサンドウィッチ」「おにぎりセット(2色、3色おにぎり)味噌汁付」(鮭は八千穂漁業さんの信州サーモン、みそ汁は山本糀店さんの味噌)、「穂のぼの農園の野菜」など、佐久穂町の食材を取り入れた美味しいメニューで評判のお店です。野菜はゴールデングリーンという佐久穂町の業者さんから、旬の野菜を定期便で届けてもらっているそうです。コメント入りの納品書や、一部が伸びているナスに目のシールが貼ってあったことも・・
思わず微笑んでしまうようなほっこりするやり取りがあるとのことです。業者とお店、発注と納品だけではないつながりを感じます。
現在はお休み中ですが、府中にある飲食店を応援するお弁当屋さんE-Kitchen(イーキッチン・府中駅南口「くるる」の1階)でもオレンジブーツの味を楽しむことができます。その他、キッチンカーやワゴン販売も開始しているとのことなので、府中の街のそこかしこで、オレンジブーツの味に会えるかもしれません。
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姉妹都市・トリビアクイズ 答え
1.長崎市。セントポール在住のアメリカ人が国連に働きかけ、市民交流による世界平和を目指して、原爆投下 による被害にあった長崎と姉妹都市提携が結ばれた。
2.夫婦(めおと)都市。1968年8月3日の締結にあたっては、「結納のしるし」として富士宮市から桜の木200本が、「結納返し」として近江八幡市から琵琶湖産の鯉250匹が送られた。
3.相合傘のマーク。このマークの下で写真を撮ったカップルは幸せになれるそう。しらかばちゃんは八千穂高 原スキー場でスノボをするなどアクティブな女の子。日々、ツイッターで佐久穂の魅力を発信中!
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