コロナ禍の豪雨災害 支援の現場から学ぶ(交流会プラッツひろば)開催報告
震災の発生率は30年以内に70~80%と言われていますが、水害は98%といわれています。そのような危険と隣り合わせの中、どのような準備をしていけばいいのか不安に思われる方も多いかと思います。そこで今年のプラッツ交流会では、日本各地で被害が出た豪雨災害に関して、実際に避難所運営支援をしている「ピースボート災害支援センター」の現場の方から話を聞いて、何が今から出来るか考えよう。というイベントを10月31日に開催しました。
講師として登壇頂いたのは、現在熊本県球磨村の避難所運営をサポートしている辛嶋友香里さんです。会場と現地をオンラインで繋ぎ、活動状況や避難場所の現状・課題などについて伺っていきました。
ピースボート災害支援センターの活動詳細はこちらをご覧ください。
https://pbv.or.jp/
※2020年11月9日確認
避難所は中長期運営についても考えておく必要がある
現在、ほとんどの避難場所は、避難生活(暮らし)をイメージした、中長期の運営が考えられていません。そのためプライバシーなどの問題が起こるとともに、災害関連死の発生がおきてしまうという現実があります。
例えば、東日本大震災のときは、2000人以上が2週間たっても学校で雑魚寝をしなければいけない状況が続いたため、避難所で命を落とす人も多くいました。約1万9千人の死者がでた中で2割の方が災害関連死で亡くなっています。熊本地震では255人の死者のうち約8割の205人が地震の直接的な影響ではなく地震に関連する原因で亡くなったそうです。
災害関連死といってもその理由も様々です。最も多いのが避難生活による疲労で、他には避難中の移動による疲労や地震・津波のストレスによる負担、持病の悪化などが報告されています。このような事実を踏まえて、他人事ではなく、どれだけ災害への備えを自分ごととして捉えられるか。が重要だと話されました。
そもそもの前提として紹介されたのが避難方法の違いです。そもそもどこに避難するか?と考えた時、2つの選択があります。
- 避難しない(在宅避難)
- 避難する(指定避難先、指定外の避難先)
基本的に災害が起きた時は避難所の運営に行政職員が入るため、そこが地域の支援拠点となります。ただ公助には限界があります。避難所に行けば何とかなるかも、という考えでは無く、避難所とは住まいを失った被災者の拠り所であり、在宅で不自由な暮らしを送る被災者の支援拠点でもあるため、その仕組みを地域で理解して、どのように地域全体で避難生活を送るか計画を立てておくことが必要となります。
誰が、避難所を運営するのか??
もちろん、避難所の運営に関して初動は行政職員がいますが、最終的には多様な組織(学校・保健所・民生委員・町会自治会・NPO・社会福祉協議会 等々)が協働した形での運営へ移行できるように、普段から避難所運営の方針について話し合っておく必要がある。ということでした。避難所の避難者は「お客さま」はいなく、それぞれができる役割を、力を合わせて実行していくことが大切ということですね。
また避難所を開設した際についての具体的な話もありました。開設した際は入所時がカギです。誰がどの状態で避難しているのかが分からないと、支援ができないため、受付時のメモが大切になってきます。せっかく食品が届いても食べられない、もし間違って食べてアレルギーで亡くなってしまうという事故などもあるということでした。
コロナ禍での悪い面、良い面
本来であれば食事は温かいものを炊き出しで提供したいが、コロナや食中毒の問題がありなかなかそれが実施できず、悩ましい現状があるということでした。菓子パンやお弁当のみが続くと、現地の方々は活力がなってしまうそうです。
ただ悪い面だけでなく、コロナ対策として最近は段ボールや布を使った仕切りを早めに導入するそうですが、これらの対応のおかげで助かる命もあるそうです。
また衛生・清掃の工夫もされており、蓋つきゴミ箱の作成は衛生環境の向上につながり、マスクの着用はインフルエンザの蔓延が少くなったという効果も出ているとのことでした。
府中市の避難所の最新情報
防災危機管理課の岩田課長からは、府中市の避難所対策について、取り組みの動向を教えていただきました。昨年の避難場所運営で出てきた課題を踏まえて、現在ではペットが一緒に可避難能な場所や、車で避難可能な場所を新設した点や、早期開設避難所も設置した点について説明を頂きました。
ペットとの避難や車での避難が可能な場所は下記URLをご覧ください。
自主防災ふちゅう第5号(令和2年8月発行)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/bosaibohan/saigai/bousaijouhoushi.files/jishubou5.pdf
※2020年11月9日掲載
熊本の避難所でもあった話ですが、市としても緊急時は職員が避難所の運営に当たるようにしているが、市民にも一緒に避難所を運営していく必要があるという認識はもってもらいたい。という話が印象的でした。
交流会
講演終了後には、質問タイムや参加者同士の交流の時間を設けました。
参加者からは、在宅避難をマンション全体で計画的に準備しているが、実際に災害が起きた時に行政からの救援物資を効率的に受けるためにはどうしたら良いのかといった質問や、避難所運営ついて行政と住民が協働した運営を行うための課題共有がされました。
また、重度の障がいでケアを受けている人は災害の準備はできている、日々の生活は可能だが緊急時には一人では避難が難しいような障がい者はどのように準備したらよいのかといった内容についても話が出ました。
現場で実際に支援している方から現場で起きている課題を共有してもらいつつ話し合った交流会は約2時間半のイベントでしたが、具体的な事例が豊富だったこと、また実際に防災で活動している方々の参加が多く、時間が足りないほど盛り上がった内容となりました。また来年もこのような内容で、市民活動団体同士で何が事前準備としてできるのか、考える会を開催したいなと考えていますので、ご参加お待ちしております。
イベントの詳細ページはこちら
http://www.fuchu-platz.jp/event/1002723/1004121/1004522.html